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【コラム】自然の摂理と経営の相互作用の類似点

 

 

 

 

 

 

栄養素が社会経済と同じ仕組み?

作物の栄養素といえば、どんなものを思い出しますか?

大抵の方は、有機肥料としての堆肥や化学肥料など、外部から与えられた『肥料』を思い浮かべるのではないでしょうか。

最近、研究によって明らかになってきたことがあります。それは、自然界の空気中に存在する窒素を肥料分に変えることができるのは、地中の微生物なのです。

しかもその仕組みが、植物との循環型の共存関係にあり、まるで社会経済の営みと同じようにも思えてくるのです。

 

作物への有害物質を肥料に変える光合成細菌

実は、自然界に存在する微生物には、何と空気中の窒素を肥料の成分に変えてしまう能力をもつものが存在するのです。その微生物は『光合成細菌』と呼ばれ、「ニトロゲナーゼ」と呼ばれる酵素を使って、空気中の窒素を肥料成分に変えることができるのです。

ここで誰もが「もし作物自身がニトロゲナーゼをつくることができたならば、作物が自ら空気中の窒素を肥料に変えられるようになるのでは?」と考えるのではないでしょうか。

しかしニトロゲナーゼという物質は、空気中に含まれる「酸素」に触れると壊れてしまうという性質を持っています。

お分かりのように、作物自身がニトロゲナーゼを作るというのが理想的ですが、その植物が光合成によって酸素を作っていることから、光合成で作り出した酸素によって、せっかく作物が作ったニトロゲナーゼを壊してしまうのです。

さらに、光合成細菌の現時点の研究では、ニトロゲナーゼを正常に作るために必要な遺伝子の数は正確に分かっていないのです。

 

光合成細菌の特徴とはたらきとは?

そこで注目されているのが「光合成細菌」というものなのです。光合成細菌は、別に珍しいものでもなく、ごく一般的な田んぼなどに多く生息する菌です。

また、その光合成細菌が必要とする栄養分は、イネの根腐れの原因となる硫化水素や悪臭の原因となるメルカプタンなど農作物に有害な物質です。

その特徴は、嫌気性(酸素を嫌う)の菌で、有機物が多い場所、水たまり、明るい場所などを好みます。そして光合成細菌が作り出す物質は、アミノ酸や核酸などです。これらは、植物や微生物などが栄養分として欲するものです。

また光合成細菌の効用は、これ以外にも、この菌によってつくられた核酸が、果実の色を良くし、収穫量を改善する働きがあるのです。

まったく、作物に有害と思われるものを食して、作物に有用な肥料分を生成・供給する働きをするものが、この光合成菌という訳なのです。

 

経営はまるで有機体である

話を人間社会に飛ばしましょう。社会経済の動きを見渡すと、我々が物質文明を謳歌している流れは、最新の科学技術を駆使した工業製品が、広く社会に流通していることが大きく起因していると言えます。

そしてこの工業製品は、地球に存在している原材料を通して、人間が生活を営むのに必要なニーズを反映させたものです。

その間、地球から算出された原材料は、生成され、化学変化を起こさせ、そしてそれらを成功に加工する技術力を加えて、人間がより使いやすい製品へと変貌を遂げています。

その生産された製品を我々は、社会の営みとして使用し、より豊かで便利な社会生活をとげることができりようになります。

より豊かで便利な生活は、生産性の向上につながる結果となり、その生産されたものを通して、多くの人々に付加価値をもたらすことができる結果となります。

また人間が使い終わったとされる工業製品は、近年では3R(リサイクル、リユース、リデュース)と言われる手法で、再度、工業製品の原料に生まれ変わったり、再度使用されたり、最近では土に還るプラスチックなど、自然界と同じよう営みを行っています。

 

自然界が人に示している

正に自然の摂理と経営の相互作用の類似点ともいえるサイクルパターンですね。

つまり自然が多くのことを我々に教えてくれており、その営みから学びを持つと、社会生活上も有効なヒントが得られることも多いのではないかと思います。

ただし、この便利で生産性の向上につながる技術と、それによってもたらされる工業製品は、人間の道徳心や価値観によって、大きな幸せを生むこともあり、別の一面では不幸を生むこともあります。

この点だけは、大自然の営みと大きく違う点かも知れませんね。

株式会社エルシーアール 専務取締役 荒井 浩通

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