【コラム】社員のモチベーションアップのキーポイントは!?
「なぜモチベーションを上げられないのか」
「モチベーション」というワードが重要視されるようになってから30年あまり時間が経つ今も、依然として会社が抱える課題として挙げられるのはなぜか。それは的確にモチベーションを上げられずに、困っている会社がたくさんあるからです。
モチベーションを上げるために、様々なスキル研修が行われていますが、なぜ効果があがらないのか・・・。それは現在の社員が抱える心の在り方とその背景を抑えずに方法論に走っているからです。
「キーワードは自己肯定感」
「自己肯定感」という言葉を聞いたことがありますか?自己肯定感とは、自分自身で自分の存在は価値があるものだと、自分自身を肯定的に認める考えです。この自己肯定感が今の若い社員は往々にして低いと言われています。
主な原因の一つに彼らの育ちが考えられます。最近の親や教師の傾向の一つに「過干渉」があります。子供との距離が近すぎてしまい、大人の価値観を押し付けてしまい、子供の素直な考えや思いを気づかないうちに否定しまっているのです。
このように親の価値観や答えばかり与え続けられしまったために、「自分はこうしたい、ああしたい」という思いを捨てた彼らは、自分の心を守るために、誰かから指示されたことだけを行うようになり、主体性を捨てて育ってきている若者が多いのです。
今の20代社員の働く上でのキーワードである「ミスをしたくない」「怒られたくない」ということがこれを物語っています。
「自己肯定感を上げる3ステップ」
では、どうやったら「自己肯定感」上げられるのか。3つのステップに分けて考えていきましょう。 まず、相手が否定されたと思わないように配慮することです。上司は、「もっとこうすれば伸びるはず」などと部下のことを思うがあまり、良かれと思ってアドバイスをしがちですが、逆効果です。
必要なのは、「あなたはそう考えているんだね」と傾聴し、承認することです。この人は自分のことを理解してくれようとしている気持ちをもってもらうことが先決です。
次に、自分が必要とされている自覚を持てるように配慮しましょう。例えば、小さい子供を持つ親はなぜ仕事で疲れているにも関わらずに子どもたちのために頑張れるのか。それは「私がいなければだめなんだ」と子供に強烈に求められているからです。
必要とされていやがる人間はいません。必要とされている時点でその人の存在をまるごと認められているからです。
最後に、任せた役割や仕事には口を挟まないことです。相手に任せたにも関わらず、早々に口を出してしまっては、相手にとっては「結局自分は信用されていない」と思ってしまいます。
任せた以上、とことん付き合うくらいで相手を見守ること自体が相手からすればあなたが自分を信頼していると思い、信頼関係が構築するでしょう。
以上のように、「受容」・「承認」・「委託(信頼)」のスリーステップで、コミュニケーションを重ねることで、社員は自分が必要な存在であると自分で思うことができ、自己肯定感が高まり、この会社でがんばりたいと「モチベーションアップ」していくのです。ぜひ、社員の自己肯定感を高めるところから、始めて見てください。
千葉 和輝(ちば かずき)/ 株式会社エルシーアール 事業推進部
岩手県盛岡市出身、宇都宮大学教育学部を卒業後、栃木県内の公立の小中学校にて教員として、20年弱、公教育に従事。子供の個性を生かし、自尊感情を高めることを大切にしながら多くの子どもたちの成長に携わってきた。
サッカーや陸上競技などのスポーツコーチとしてもスキルを磨き、全国大会へ選手を輩出するなど、社会教育の分野においても指導力を発揮している。また、心理学にも興味を広げ、現在、公認心理士を取得にむけて猛勉強中。これまでの経験で磨いた多面的かつ多角的な分析力と実践力を新しいフィールドで発揮している。