【コラム】企業文化と人材育成⑥ 【コラム】企業文化と人材育成⑥

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【コラム】企業文化と人材育成⑥

6.社風の大切さについて

私の企業人生での経験を通じて企業文化と人材育成の関係について感じた事や、現在にも通じる部分について6回に分けて掲載したいと思います。読者の皆さんの参考になれば幸いです。

第六回目は“社風の大切さについて”です。

昨今の日本の製造業で相次いで不正が発覚しているのは皆さんもご存じだと思います。
どうしてこんな事になるのか、原因の要因は複雑だと言われていますが共通しているのは「ものを言えぬ雰囲気」です。企業の不正から“社風の大切さ”について書いてみたいと思います。

昨今の製造業の不正問題

長く日本経済をけん引してきた製造業に相次いで不正が発覚しています。日本のものづくりへの信頼が揺らいでいます。
自動車業界では2016年~2018年にかけて乗用車メーカー5社に排ガスや燃費性能の改ざん、無資格検査の発覚、2022年にはトラックメーカーにも排ガスや燃費性能の偽装が発覚しました。
そして昨年には大規模な認証試験の不正が発覚しました。不正の内容を見ると自動車業界にいた私には信じられない事ばかり、特に衝突試験の不正は一番大切な顧客の安全が軽視されています。

原因は無理な短期開発と下流へのしわ寄せが認証部の不正に至ったとされていますが、これほど大規模な不正は組織ぐるみではないかと疑ってしまいます。不正発覚が内部通報ではなく外部に告発している事も根深さを感じてしまいます。
これら多くの不正は上意下達で現場を追い詰める経営陣や上司に対して「ものを言えない現場の雰囲気」が共通の原因とされています。それは自動車業界に限らず、近年だけでも鉄鋼、電機メーカーの不正で同じ様に無理な達成目標を強いられる状況は同じです。

社風の大切さ

ではなぜ、この様な無理な達成目標で現場を追い詰めるのでしょうか?
効率化や高い目標設定は事業で有れば当然ですが不正無く高業績を上げる企業は少なくありません。
不正の原因とされる「ものを言えない雰囲気」は「やるのが当たり前文化」や「収益最優先の風土」とメディアなどで表現されていました。ここで、良く言われる文化や風土とは何でしょうか。
風土は、その組織独自の習慣や暗黙のルールであり、明文化されていませんが社内に根付いています。
企業文化は、企業理念や実績を基に企業自身が積極的に築いていくビジョンや行動指針で有り、社内で共有されて仕事に直結します。社風は社員が感じる社内の印象や特徴で職場の雰囲気を意味します。
企業理念は会社の存在意義であり、社外より社員へのメッセージ性が強く、社員の考え方や行動の方向性を示し、一体感を高める企業文化に繋がります。そして風土になり、社風になります。
社風を見ればその会社の風土や経営状態が想像出来ると何処かの記事に有りました。
第1回コラムでも触れましたが思った事を言える自由闊達な社風は企業理念に基づく企業文化により醸成されたものです。不正が起きてしまう「ものを言えない雰囲気」に対してとても大切なものだと思います。

昨年の大規模不正の自動車メーカーの「1ミリ、1グラム、1円、1秒にこだわったクルマづくり」のスローガンは効率優先主義を象徴しています。顧客や社員への想いは何処に行ってしまったのでしょう。

あとがき

全六回のコラムも今回で最終回ですが、全体的に経験や事例をもっと盛り込みたいと思いましたが、書き始めると無難な一般論が中心になってしまい、伝えたい事を文章で表現する事の難しさを感じました。
何かしら皆さんの参考になりましたでしょうか。最後まで読んで頂き、ありがとうございました。(おわり)

株式会社エルシーアール コンサルタント 坂本 靖則

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