【コラム】今だからこそ、社員教育!! その1

1 社員教育はなぜ必要!?

会社が社員を雇うということを「社会的な意味」から考えてみましょう。会社が社員を雇い、共同体の一つの歯車として時間を共にするということは、その社員の人生に大きな影響を及ぼすものであり、その人の未来に責任を持つことも意味しています。

 会社が自社の社員の未来に責任を持つ以上、彼らがよりよく働き、力を発揮し、納得して生きていくために必要な知識やスキルを手にするための機会を、責任をもって提供することが求められるのです。言い方を変えると、社員教育を行い、しっかり人材育成を実践している会社とは、社会的責任を果たしている社会的価値の高い会社と言えるでしょう。

2 期待される社員教育の効果とは!?

「社員教育」を会社が行うことで、期待される効果は大きく分けて2つあります。それは、「会社の信頼性を確保すること」と「会社全体の生産性を高めていくこと」です。

 会社に属する社員一人一人は、当然ですが、これまで異なる環境の元、育ち、学び、自分なりの価値観をもっています。それぞれの個性を発揮して、自分なりのやりがいを追究しながら働くことももちろん大切です。ただ、それはあくまで会社という組織にあって、それぞれがその会社の代表として責任をもって行動するという大前提の下であります。

 業種問わず、どの会社においてもお客様や取引先の会社の社員と接する機会があります。当たり前ですが、外部の人からすれば自分の目の前にいて自分に接する人イコールその会社の印象となり、全てとなります。だからこそ、新人研修でも「社会人の基本」や「顧客満足度」と題して、取り扱うわけです。

 社員一人一人がその会社を代表している以上、同じ内容・行動をお客様に提供する必要があります。各々の異なる価値観をもちつつも、同じ会社に属している社員として共通理解・共通行動していくために、その会社の理念や風土、規範などを教育していく必要があり、これこそ会社としての信頼を確保することになるのです。

 もう一つは、社員一人一人のパフォーマンスを上げることです。会社という組織は、属する社員一人一人が一つにまとまっている価値観同様社員の持つ能力や特性は各々バラバラです。会社からすると利益を追求していく上で、社員一人が持つ生産性を高めていくことは同じ意味を表すものであり、社員教育を行い社員の知識やスキル、思考を高めていくことが必要なのです。

 社員教育というと、一見社員目線でとらえがちですが、人材育成は会社と社員のどちらのためでもあり、互いの幸せにつながるいわゆる「Win-Winの関係」を一つの形に表したもと言ってもよいのです。

3 離職防止効果にもなる!?

最近の若い社員の価値観の変化についても見逃せません。全国規模の若手社員へのアンケートなどからも、明らかに働くということへの価値観が変わってきています。

 給与の高さよりも休日などの待遇など注目ポイントがいくつかある中で、特に注目したいことは、キャリアアップ・スキルアップに対する高い関心を持っていることです。自分の力を磨き、ステップアップしていくことに大きな興味を持つ若手社員にとって、会社内における社員研修の位置づけをはじめとする社内文化はかなり重要な意味を持ちます。

 会社として、自社の社員に対して、今後どのようになってもらいたいのか、そのためにどのような教育をする計画があるのかを明確にすることで、社員の不安を取り除くことにもなります。不満をもつ社員は愚痴や文句を言うことはあっても会社をやめません。

 会社の考えが不透明であることで引き起こす不安感こそが、離職の大きな原因となるのです。その不安を取り除き、未来を社員に指し示す必要が会社にはあります。

4 社員教育のポイントとは!?

社員教育を通して、社員の人材を育成していくための最大のポイントは、社員自身が研修を通して意欲的・主体的に学びに向かう姿勢となるようにサポートすることです。言い方を変えれば、社員一人一人が常に向上心をもって学ぼうとする「会社全体の雰囲気づくり」に努めるということです。 

 人は周りに影響されるし、モチベーションは日々変化するものです。だからこそ、会社は社員が継続的にそして前向きにスキルアップしていく土壌作りが必要になるのです。人材を育成するという企業としての文化とも言えるでしょう。

 会社がよくやりがちで、落とし穴になってしまうこととして気を付けるべきポイントが一つあります。社員教育の効果をすぐに求めることです。確かに、時間とお金をかける以上、即効性のある効果を求める会社側の思惑は十分わかります。

 しかし、一度参加してあっという間に腑に落ちて効果を発揮するという研修会や講座があるかと考える、答えはノーです。なぜなら人材育成には手間も時間もお金も必要だからです。だからこそ、会社がわが社のミッションを達成するために、社員をどれくらいの時間をかけてどんな能力を身に付けてほしいか、どうなってほしいのかを計画的に社員に提供する必要があるのです。

 いわゆる教育体系や職能体系、またはキャリアパスが必要なのはこのためです。
もし即効性がある社員教育があるとすればそのスキルや考え方は、きっとすぐに必要がなくなる類のものであると認識してよいでしょう。

 即効性がある学びを否定はしませんが、お手軽に手に入るものはそれだけ廃りも早いのではないでしょうか。大学で一時期「一般教養」を排除したにもかかわらず、今また復活させている流れはこの最たる例でしょう。

  千葉 和輝(ちば かずき)/ 株式会社エルシーアール 事業推進部 

岩手県盛岡市出身、宇都宮大学教育学部を卒業後、栃木県内の公立の小中学校にて教員として、20年弱、公教育に従事。子供の個性を生かし、自尊感情を高めることを大切にしながら多くの子どもたちの成長に携わってきた。
サッカーや陸上競技などのスポーツコーチとしてもスキルを磨き、全国大会へ選手を輩出するなど、社会教育の分野においても指導力を発揮している。また、心理学にも興味を広げ、現在、公認心理士を取得にむけて猛勉強中。これまでの経験で磨いた多面的かつ多角的な分析力と実践力を新しいフィールドで発揮している

 

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