【コラム】人事評価の誤りについて その2

 

 

 

 

 

 

新型コロナウィルスに熱中症の危険が加わり、3密にならないところではマスクを外したり、また着けたりしながら過ごしています。

前回は前職での人事評価の誤りを例に「評価をする際の典型的な誤り」について説明させていただきました。これらには共通した大きな誤りがあります。それは、人事評価ではなく成績評価として評価者がとらえていることです。

 

人事評価とは、正しく現状把握をすること

人事評価はキャリア形成の基礎として被評価者の今の状態をとらえることです。それは今の立場での理想像に対する絶対評価をすることです。職能要件や役職の要件では被評価者の職種や役職により何が求められ、どのような人財が求められているかを理解して現状把握をすることなのです。

モノサシは職種や役職の理想的な人財像です。だから評価は絶対評価になります。これは多くの方が理解していることだと思われます。

 

適切に評価できない最大の問題は・・・

問題は、みんなわかっていることなのに、なぜそれができないのかということです。その大きな原因が、職種や役職のごとの理想の人財像が具体的ではないことなのです。

業務の各ステップでどのような行動が理想の行動かが不明確なためです。モノサシは具体的な行動です。これがあれば被評価の行動を点数化でき、業務の何が得意で、何ができていないかが分かります。

 

成績評価とは?

現状把握ができれば何を学べば自分が変われるのが分かります。人事評価はこのために行います。業務のステップごとに理想の行動を明らかにするのは手間がかかりますが、現場の管理者はこの具体的なイメージを持っています。正しい現状把握には具体的なモノサシが必要ですから、手間を掛ける価値があります。人事担当者は肚をくくって、現場の管理者と共に、社員が成長する姿を思い浮かべて苦労するしかありません。

一方で、成績評価は他の者との相対評価です。当然基準となるモノサシは不明確です。被評価者と他の者との差を明らかにすることが目的で、前回のような誤りを生み出します。差がハッキリしてもどこに向かうのかは分かりません。従って、何を学べば自分が変われるのかが分かりません。

 

評価の目的、それは社員の成長のため!

評価は給与や待遇を決めるために行うものではありません。結果として給与や処遇の目安になることはありますが、評価は社員が成長するために行うものということを今一度みんな理解することが重要なのではないでしょうか。

株式会社エルシーアール 事業推進部 大木 啓樹