【コラム】アマチュアはプロにかなわない ~効果は「努力のべき乗」で現れる~

 

 

 

 

 

 

なぜアマチュアはプロに全く敵わないのか

昨年は多くのスポーツが新型コロナのため中止もしくは延期、または無観客開催となりテレビ中継を見ることも少なかった1年でした。さて今年はどうでしょうか。個人的には大好きなゴルフのメジャー大会が例年通り開催されることに期待しています。

さてそのゴルフでは、

いくらアマチュアでうまいといってもプロに混じれば天と地ほどの差があってまったく通用しないものです。それはどんなスポーツでも同じ。(数年に一度彗星のごとく現れる新人プロもいるにはいますが出現確率としてはゼロに近いのです。)

プロとアマの差が生まれる理由の一つに「努力・経験の量」が圧倒的に違うことにあります。人生をかけて全てを鍛錬につぎ込むプロと、余った時間をうまくやりくりして上達を目指すアマチュアでは「努力と経験の量」に差が出ることは当たり前です。

 

人間の能力は「努力・経験のべき乗」で伸びる

このことは池谷裕二氏(東京大学薬学部教授、脳研究者)の脳科学に関する書籍でも書かれているのですが、人間は経験を重ねることで、脳の中の「経験記憶」がべき乗で発達・蓄積するのだそうです。べき乗とは2の1乗は2、2乗は4、3乗は8、4乗は16、・・・・10乗は1024。つまり経験を2倍積めば能力は4倍に、3倍努力すれば能力は8倍に、10倍努力すれば1024倍に伸びるということです。

これはスポーツの世界だけでなく私たちの普通の仕事でも同じことが言えると池谷氏は言っています。

10年コツコツ頑張れば1024倍の力量が自然とついてくるのがべき乗理論です。逆に最初の半年、1年程度の努力では思っていたより能力が伸びないことがあるということです。

 

石の上にも3年

このべき乗理論、「石の上にも3年」「継続は力なり」も似た意味ですね。

近年、学校を卒業したばかりの新卒社員が早々に「自分に合わない」と退職してしまうことが多いと言われています。(大卒社員で約3割超が3年以内に離職。厚生労働省調べ。)理由は色々あろうかと思いますが、「もう少し頑張ってみようよ」と50代の私からはアドバイスしたいと思います。

私は前職で半導体集積回路の設計をやっていたのですが、今思えば大卒2,3年のころは低空飛行でした。でもなんとかがんばり、周囲の協力もあって20代後半になってようやく「自分でも独り立ちできそうかな」と感じることができたと記憶しています。(それでも三流技術屋でしたが。)自分の経験から考えると、20代後半から30代前半で得た知識や経験がベースになって、今も家族を養うことができていると思っています。

 

上司の皆さん、成果を急がず時間をかけて育成してください。きっと成果が出てきます!

上司や先輩社員さんにアドバイスです。

能力はすぐに発揮されるものではありません。できるだけ若手社員や後輩にチャンスを与えてあげてください。出来ないことを叱ることも時に必要ですし大切ですが、それ以上に出来たことを褒めてあげてください。「継続は力なり」です。努力を断ち切るような指導や発言はしないことが次の世代を担う若手の力を伸ばし組織の発展につながっていきます。

人間の能力は「努力・経験のべき乗」で伸びていきます。

株式会社エルシーアール 事業推進部 部長 若色 宏幸