【コラム】「私、困っていません」では困ります

 

 

 

 

 

 


今回のテーマは業務改善です。

よくある会話 「私、困っていません」


どの会社、どの職場でもよくある会話です。

上司Aさん:「何か問題はないかい?」

部下Bさん:「はい、問題ないっす」

上司Aさん:「何か困っていることはないかい?」

部下Bさん:「困っていることはありません」

本当でしょうか?

ならばこの職場は、品質(Q)、コスト(C)、納期(D)が申し分なく、次々に優れたサービスを生み出し顧客満足は高いのでしょうか? 設備機械は故障もなく稼働し製品不良は1個もないのでしょうか? 働く社員は生産性が高く元気にあふれ、お給料も高く福利厚生も手厚く、従業員満足も高いのでしょうか? 環境に優しくCSR(企業の社会的責任)も果たされているのでしょうか。

 

問題のない会社はない


そんな優れた会社は世の中に1社もないはずです。どんな企業にも何らかの“問題”はあるはずです。

冒頭の「問題ないっす」「困っていることはありません」という答えは問題に気づいていない、または問題に気づく力がないからこそ言えるのです。そんな人たちこそ「困った」社員と言えます。

あるコンサルタントから聞いた実際にあった話です。

毎日納品される1つ8キロの部材を、女性社員が1個ずつ手で持って階上の資材置き場に5往復もっていく日課があるのだそうです。

コンサルタント:「これって困っていないですか?」

女性社員:「慣れたので別に困ってはいません」

コンサルタント。「でも腰や腕はつらくないですか?」

女性社員:「そういわれると重いので腕と腰がつらいです。夏は汗だくです。」

コンサルタント:「この手順で疑問におもったことはありますか?」

女性社員:「別にないです。昔からのやり方なので。私の仕事ですから。」

 

「困ってます」と声を上げることがスタート


この女性社員はマジメに素直にこの業務を務めています。でも「困った」社員でもあるかもしれません。もっと効率的で体に負担をかけない方法があるはずです。例えば、毎日は入荷しない、手で持たずに台車を使う、エレベータを使う、運送業者さんに運んでもらう、あるいはそもそも階上に置かないなど。

「私、毎日この重い部材を運ぶ仕事、効率悪いし体に負担がかかるし困ります」と声を上げてみましょう。そうすれば本人だけでなく職場全員でもっと良い方法を見つけられるはずです。

 

職場はムリ・ムダ・ムラでいっぱい


私たちの職場にはたくさんの改善できること、工夫できることが潜んでいます。いわゆるムリ、ムダ、ムラです。多くの人がそれに気づかず、漫然と同じやり方を繰り返しています。

カイゼンの総本山・トヨタ自動車による7つのムダの定義は広く知られています。皆さんも一度自分の仕事のやり方を振り返ってみませんか。

1.造りすぎのムダ

2.加工のムダ

3.在庫のムダ

4.手待ちのムダ

5.動作のムダ

6.運搬のムダ

7.不良・手直しのムダ

 

もっと楽に、正しく、安価に、速く、安全に


業務改善には目的があります。仕事を

「もっと楽に、もっと正しく、もっと安価に、もっと速く、もっと安全に」です。また成果を生む業務改善をやるなら「自ら改善活動を楽しんでやる」方がよいでしょう。定期的に報奨金付の業務改善キャンペーンをやる企業もありますが、それもよいでしょう。でもできれば自然発生的に改善アイデアが生まれる風土が望ましいでしょう。

働く人たちが、困っていることや問題と思うことはないかを考え、放置することなく改善を自ら進めていくこと、それを実現できる風土が強い組織を生み出していくはずです。


株式会社エルシーアール 事業推進部 部長 若色 宏幸