【コラム】キャリア形成の考え方は一つだけ?その1

 

 

 

 

 

 

 

前回はキャリア形成の意味について書きました。では、キャリア形成の考え方は一つだけなのでしょうか?キャリア形成とは「目的を掲げてその実現を目指すこと」と受け取られることが多くあります。ただ、これはキャリアデザイン(キャリア形成)の考え方の一つでしかありません。

目指すべきゴールが見えていない状態や、目指すべきゴールはイメージできるが実現まで程遠い状態、絵に描いた餅で地に足がついたプランになっていない状態ではキャリア形成は簡単に取り組めません。

キャリア形成のパターンは状況やタイミングに応じて考え方は異なります


これまでの日本企業では、一律の階層教育でキャリアの考え方を統一して伝えることが多くありました。しかし、実際には、昇格のタイミング等が違うように、一人ひとりのキャリアの歩み方は異なるもので、個人の状況に合わせてやり方を変えることが望ましいです。仕事や精神の習熟度、プライベートを含めた個人を取り巻く環境に応じて、適切なキャリア形成の考え方を提示していくことが重要になります。キャリア形成の考え方としては、「川下り(筏下り)型キャリア」「山登り型キャリア」「ヨットクルージング型キャリア」の3つがあります。

 

【キャリア形成・キャリアデザインの考え方①】川下り(筏下り)型キャリア


社会人人生の初期には自らの進む先を見定めたり、プランを描くのは中々難しいものです。その理由としては、「仕事の習熟度の低さ」、「精神的な未成熟さ」、「選択の自由度の低さ」の3点があげられます。仕事に慣れておらず仕事の全体像が見えていないため、「今後・その先」を想像するよりも「今・ここ」の状況に固執して考えてしまいがちです。社会人になりたての段階は実績も信用もあまり無く、会社や周囲の影響を受けざるを得ない時期でもあります。

このようなタイミングでは、ゴールを掲げて進むのではなく「目の前のことを一つひとつ乗り越えながら経験を積んでいく」というキャリア形成の意識が重要になります。この時期のキャリアは、仕事や周囲との関係という「急流」に飲まれながらも、先に進んでいく様子に例えられて「川下り(筏下り)型キャリア」と言われます。この際に大事になるのは、事前に計画を精緻に描くことではなく、「経験後の振り返りと挑み続ける姿勢」です。キャリアデザインの目的を「やるべきことの明確化、やれることを増やす覚悟の醸成」とおき、自身がモチベーション高く目の前の仕事に向き合い、能力向上に意欲的になることが重要です(つづく)


               株式会社エルシーアール 事業推進部 大木  啓樹