【コラム】リスクをチャンスに変えてイノベーション③

 

 

 

 

 

 

 

3.リスクをチャンスに

リスクをチャンスに変える

後ろ向きに捉えがちなリスクマネジメントですが、前向きに活用し、企業価値の拡大、もしくは転換し、利益を上げていく方法についてお話しします。

前置きになりますが、チャレンジで成功を収めるには、個人的なことであれば、不確実性のことでも無謀にトライすることにより得られる場合もあるでしょう。
但し、組織や企業においては、有限の予算や資産、そして組織員一人ひとりの生活を考えれば可能の限り確実性を高めていく活動も重要であります。

組織を取り巻く様々な環境リスク

現代の組織や企業を取り巻く環境は、第一回にも述べた以外にも様々なリスクがあります。
1)自然災害
2)感染病を始めとする予期しない疫病発生
3)多様化人材の組織マネジメント困難
4)データ社会の情報漏洩やシステム障害
5)カーボンニュートラルに向けた環境保全費用
6)働く人材の高齢化

尚、危機的要因が多様化していくことを“マルチハザード”と呼んでいるようです。
これらマルチハザードを第二回にお話ししたように自組織や企業に照らし合わせて、リスクを抽出できるといいように思います。

リスクに対する取り組み方

その中で回避や受容するための戦略がチャンスとなり得るかを評価します。
※詳細は述べませんがSWOT(強み/弱み/機会/脅威)でこれらを整理立てる手法も有効となります。
ここまでの考え方を分かり易い事例として表現してみます。
(環境リスク)感染症のパンデミック化
→(国家対策)ロックダウン
→(人流)外出禁止
→(組織)外食産業の顧客激減
→(組織)売り上げ激減

この対処をSWOTで考える。
⇒(強み)自給原材料の配達事業
⇒(強み)調理法(レシピ)ライセンス事業
⇒(弱み)一部原材料を輸入
⇒(機会)新規として調理法と原材料配達を主事業化
⇒(脅威)大手による同事業の低コスト
この様に整理立てておくことが必要になります。

監視の中でリスクが顕在化した際に上記(弱み)の対処と(脅威)の対処を取り組みとしていくことでチャンスに転換していきます。また、この時、凝り固まらない取り組み抽出としていくためにも組織員の幅広い人材と視野を活用して、ブレストすることをお勧めします。

大方、経験豊富な組織員にありがちなことは、経験に基づいたコンサバティブな取り組みになりがちです。トップを始め、経験豊富者はアグレッシブな取り組みを寛容に受け入れる度量をもちましょう。そして、ステアリングに徹していきましょう。

この取り組み方の誤りは他力本願的に“いつかは戻る”ことを期待待ちにすることです。もしこれが長期間掛かれば、耐えられないかもしれません。せめて第二回に述べたリスクを移転し、事業保険に加入することが必要かもしれません。

コンプライアンス違反の回避

アグレッシブ過ぎて注意しなければならないことは、コンプライアンス違反です。
例えば、ある人が個人的にデータ社会における漏洩をチャンスに変えて、企業データをある国に高額で売るようなことになってはいけません。
取り組み一つひとつに法令や法規等を確認していく必要があります。

次回は、これらの活動(イノベーション)事例についてお話します。(つづく)

株式会社エルシーアール コンサルタント 亀田 勝


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