アサーティブコミュニケーション研修実施事例 小売店システム販売業 栃木県県央部
言いたいことが言えない人が増えている
近年SNSツールの広がりとともに固定電話に出られない若い社会人が増えていると聞きます。“知らない他人が怖い”ようです。それと類似した現象で、「言いたいことが面と向かって言えない人」も増えています。仕事を進めるうえで他者とのコミュニケーションは欠かせませんが、相手に遠慮して「希望を言えない」「断れない」「指摘できない」「提案できない」では仕事は進まないでしょう。
今回、研修を行った企業様(小売店向けシステム販売業)でも顧客からの無理なお願いを断れないなどの事象があるとのことで、アサーティブコミュニケーション研修を行いました。
このアサーティブコミュニケーション技法を身に付けることで、お互いがお互いの意見を伝えあうことができ、円滑な人間関係づくりにもつながります。
アサーティブコミュニケーションとは
アサーティブコミュニケーションとはよく「お互いを尊重しながら交わすコミュニケーション方法」と説明されます。しかし、“自分も相手も尊重しながら自己主張する”という感覚は日本では馴染まないのではないでしょうか。
元々アサーションとは、まだ人種差別が見られた1950年代のアメリカで「弱い立場の人々でも自分の考えを主張する権利を持っている」という差別撤廃運動を通して生まれた考えです。
この考えが発展して、主張が苦手な人でも自分を卑下することなく、考えを伝えあう手法としてアサーティブコミュニケーションが広がっています。アサーティブコミュニケーションは相手に遠慮する傾向のある「非主張型」だけでなく、強気に出て相手を言い負かす傾向のある「攻撃型」の人にも有効です。
DESC法が効果的
アサーティブコミュニケーションを実践する上で効果的な手法としてDESC法があります。D→E→S→Cの流れで行うコミュニケーションです。
D:Describe (描写する)・・・自分の状況や相手の行動を描写する
E:Express(表現する)、Explain(説明する)、Empathize(共感する)・・・その状況に対する自分の気持ちを表現(表現、説明、共感)する
S:Specify(具体的に提案する) ・・・とってほしい行動、妥協案、解決策を提示する
C:Choose(選択する)・・・自分からの提案に対する相手の反応(YesまたはNo)に返答する
例えば、報連相が最近少ない部下に対して報連相を促す場合、
D:“最近、報告が少ないように感じててね”
E:“毎日忙しそうなので心配していたんだ”
S:“先日のA社の件、今日のどこかで報告を受けたいのだけれど”
(部下からはYesの反応“大丈夫です、少し時間がとれそうですので”)
C:“(Yesに対し)ありがとう、今、時間を決めてくれれば時間の調整がつきやすいと思うよ”
の流れで伝えれば、自分も強気に出すぎず、相手も卑下することなく意見を交わし合うことができます。
ロールプレイング
今回の研修では実践力を養うことを目的とし、場面ごとのロールプレイングを実施しました。
4つの場面を設定し、二人一組で実施しました。
場面1:契約外のことを無理に依頼してくる顧客に対して申し出を断る
場面2:明日は急用で休暇をとるため、業務の代役を別の社員に依頼する
場面3:特定の社員に業務の偏りがある状態を変えるよう上司に提案する
場面4:仕事が雑な年上のベテラン社員に丁寧に仕事をやってもらえるよう指摘する
この4つの場面についてDESC法でシナリオを作成し、そのシナリオにそったロールプレイングを行いました。
ロールプレイング後の感想
ロールプレイング終了後は、「実際の場面でもDESCを意識すれば言いたいことが言えそうだ」「相手の意向を気にせず自分の意見を強く言いすぎることが多かったが、相手の気持ちも考えながらコミュニケーションできそうだ」などのコメントをいただきました。
エルシーアールではコーチング手法や報連相スキルアップ、傾聴力や質問力向上などのビジネスコミュニケーションをテーマとした研修を数多く実施しています。オーダーメイドでその企業様にあったカリキュラムをご提案し効果の高い研修を行っていますので、従業員間のコミュニケーション力向上をお考えの企業様はお問い合わせください。
株式会社エルシーアール 事業推進部 取締役部長 若色 宏幸