ISO9001 内部監査員レベルアップ研修 実施事例
ISO9001を本当に経営に活かせているか
品質マネジメントの国際規格:ISO9001は、日本国内で約2万組織(JAB認定、2024年8月時点)が認証を取得し、組織のパフォーマンス向上・顧客満足向上のための活動を行っているといわれています。しかし本当にパフォーマンス向上のために“有効“にISOを活用できている組織はどのくらいあるのでしょうか。認証組織の多くが、「取得するまでは頑張った。その後の維持・更新審査の時も頑張る。でも経営に活かせているとは言い難い状態かな」との声を聞きます。
適合性から有効性へのシフトが必要
ISO9001認証取得組織は、まず認証をとることを目標に置くため、概して「適合性(※1)」を優先してシステムを構築する傾向があります。仕方がありません。しかしISO9001が求めているのは、規格適合性に加えて、組織としてのパフォーマンスアップすなわち「有効性(※2)」にあるといえます。認証を取得して10年くらい過ぎると、外部審査機関からの改善要求として有効性の充実、とりわけ内部監査の充実が求められてきます。多くの組織が「内部監査のマンネリ化」に陥っているのではないでしょうか。毎年、監査員が同じチェックリストを用い、被監査部門が用意された答えを金太郎飴のごとく答える。また現場監査は軽く見て回る程度で済ます。こんな内部監査をいつまでも行っていてはパフォーマンスはあがらないでしょう。適合性監査に加え、有効性監査の比率を上げていく必要があるといえます。
有効性監査に重点を置く内部監査員レベルアップ研修
エルシーアールではそのような組織に向けて内部監査員のレベルアップ研修を広く行っています。具体的には有効性監査のレベルを上げるための研修です。
有効性を上げるとは、例えば製造プロセスであれば5M1E(※3)に着目し工程管理がどのように行われているかをチェックします。
・作業実施状況
・作業者のスキルレベル
・設備の点検方法と点検状況
・稼働状況(チョコ停止の有無・時間)
・材料による不良等の発生状況
・検査記録
・不具合品(不適合品)分析
などがあります。このレベルアップ研修では内部監査員が集まり、上記を確認するための具体的な項目を議論しながらリストアップし、新たなチェックリストを成果物としています。次回の内部監査からはこれらを用いて有効性に重点を置いた内部監査が実施でき、自ずとパフォーマンスにプラスの効果を与えることが期待できます。
企業単独で行うISO研修のメリット
ISO研修は一般には公開型の研修が広く行われています。(当社ではとちぎ産業振興センター様より指名を受け、公開型講習も行っています。)公開型は受講費用の面では効果的な研修といえますが、企業様単独で行う研修はその企業のルールをベースに行いますので、より深い理解が得られ、職場での活用度が一気に上がります。(研修実施前は担当の方に現在のマニュアル類、チェックリストや過去の審査報告書を共有させていただいています。)公開型のISO研修との違いはここにあります。
ISO外部審査において「内部監査マンネリ化」「パフォーマンス向上にISOが使われていない」などの指摘を受けている企業の方、当社にて有効性があがること必須のこの研修をうけてみてはいかがでしょうか。
※1:適合性:ISO9001規格や自社で決めたルールどおりに行われているか
※2:有効性:目標達成のために実施した活動のパフォーマンスの良し悪し
※3:Man(人)、 Machine(機械)、Method(方法)、 Material (材料)、 Measurement (測定)、Environment(環境)
株式会社エルシーアール 事業推進部 取締役部長 若色 宏幸