【M&A事例】苦境のどん底を救ってくれたM&A~ 事業の継続と社員の雇用継続に、やっと光明が見えた ~
●50年余り事業を継続して、残ってしまった大きな負債
弊社は創業50年の歴史をもち、ビルメンテナンス・警備・給食の提供などにより、現在の年商は約4億、従業員は300名ほどで営んでいる佐野市の会社でございます。
社長である私は、50数年前、当時勤務していたビルメンテナンス業で培ったノウハウを活かし、24歳という若さで今の会社を創業いたしました。当初は、清掃業を主に営んでおりましたが、仕事を頂いていた製造業関連の経営者の方から、「工場内の給食をやってくれないか」とのお誘いを受け、栄養専門学校時代に身につけた調理の技術を生かすなどして、徐々に事業分野を拡大していきました。
けれども50年の間には、様々な苦労も伴いました。皆さんもご存じのように、オイルショック・バブル崩壊・リーマンショック・東日本大震災等、顧客からはコストダウンを何度も強いられてきました。そしてまた、その度毎に私の性格で、すんなりそれを了解してしまうのでした。
しかし同時に、社員の賃金相場も年々上がり、始めは良かった経営状態も徐々に悪くなっていきました。金融機関からも多額の借り入れをしなければならない状態にまでなっていったのでした。
我が家の預金からも、時々会社にお金を融通するようになりました。
そして会社への銀行融資の額は、50年経ってみて、1億円を超える結果となっていました。
一方で、いずれは考えなければならい後継者についても頭を痛めていました。
3人の子供のうち、長男は都会で国家公務員、長女は約500㎞離れた地に嫁いで定住し、次男は更に遠く、海外で医療研究者として従事している現状だったのです。
●かわいい社員たちは残してあげたい
こんな四面楚歌な状態にありながらも、「何とか会社を継続させて、全社員の雇用は必ず守りたい」と思う気持ちは人一倍だったと思います。会社が苦しくなる程に、尚更考える日々でした。
そんな中、以前より何年も通ってくれて、M&Aについていろんな角度から提案をくれていたエルシーアールさんに相談してみることにしたのです。
まず会社の状況ヒアリングや決算情報の提供から始まり、当社の強みや弱み、そして課題や金融機関からの融資状況などを洗いざらいお話ししました。融資は、信用保証協会つきの内容であることや、毎年支払っている金利の状況などについても更に詳しくお話ししました。
正直私は、年商の半分以上である融資額の多さに、第三者への会社継承を諦めていた時期もありました。ですが、エルシーアールの担当者は諦めない。経営改善のポイントをよりわかりやすく的確に、何度も何度も修正しては持ってきて、それを見る度に、「これならM&Aを進めても会社が蘇るかもしれない」という気持ちに私自身 変わっていきました。そしてその青写真がはっきりしていくと合わせて、ここに、「M&A 着手契約」をエルシーアールさんと交わしたのでした。
令和元年9月、本格的に相手探しが始まりました。
●コロナ禍のドツボに入る直前、ご縁の相手先が現れる
はじめは近隣の市町村を中心に社名と属性情報が分からないように「ノンネーム情報」として、少しずつ相手先探しを進めていきました。しかし年内は、目ぼしい相手先が見つかりませんでした。
その多くの理由は、金融機関からの借金の多さです。
営業利益が毎年十分に出ているのであれば、M&A後、借金を数年で返せる見込みが立つのですが、弊社はその営業利益も出ておらず、業務内容と売上高では、譲受候補企業から目を引くものの、その後ことごとく借金の額を見て敬遠されるというケースが多発していきました。
そんな中、関東一円、譲受候補企業を一件一件あたってもらっている中で、埼玉県のある企業が関心を示してくれたとエルシーアールの担当者から連絡がきました。それは、コロナウィルスが関東で爆発的に広がり、緊急事態宣言が発令される直前の頃でした。
さて通常、弊社のようにビルメン業・警備業・給食提供業務を同時に多角的に実施している企業は少なく、当たってもらっていた企業は、どれか一つの分野、または二つの分野までというケースが殆どでした。そんな中、関心を示してくれた埼玉のその企業は、弊社と同じように多角的に業務を営む組織だったのです。しかも、その会社とエルシーアールとの出会いから二日後、私は長年患っていた脳疾患が再発し、地域の大病院に救急搬送されてしまう事態が発生したのです。
もしこの二日間が入れ違いだったらと思うと、今もぞっとするような状況だったのです。
●類似内容が多く、経営戦略が当社にはまった
私の意識不明の状態は、その後一ヶ月近く続き、その間、妻が私の代理人となってエルシーアールを通して、譲受候補先と折衝を続けていってくれました。
この時の状況を後に知るに至って、本当に妻には感謝しかありません。
ところで折衝の中での話ですが、相手企業の戦略の中に群馬県への進出を強化させたいとの意向があり、弊社も5年前から群馬県を営業強化している最中でもあり、全く経営戦略がパズルのピースのように、ピタリとはまったと感じました。
M&Aとは、企業の売り買いという事務的な味気ない作業なのではなく、譲渡側・譲受側の双方が相乗効果を発揮させ、お見合い結婚の籍をいれるようなものだとエルシーアールの担当者は話しています。まさにご縁を深めるお相手探しのための意識と、行動の強化による賜物なのだと私も思いました。
今後、経営不振に陥っていた弊社が、新たなオーナー 新たな社長の元で大きく羽ばたいていってくれることを望むばかりです。そして何よりも社員たちが、今まで以上に生き生きと活力いっぱいに仕事に従事してくれ、さらに会社も利益増大になっていくよう陰ながら応援していきたいと考えています。
株式会社エルシーアール 代表取締役 荒井 浩通