品質向上をベースにした生産性向上の事例報告
《研修で学んだことを活かすための取り組みは?》
今回は、約2年間にわたりリーダー研修を実施し、その後生産性改善に取り組み始めた企業の事例をご紹介します。
研修の成果として、参加者の行動に少しずつ変化が見られ始めました。しかし、経営層からは次のような課題が寄せられました。
「研修後のフォローも行っていますが、時間が経つと元に戻ってしまう人もいます。研修で学んだことを活かせるような取り組みができると良いのですが……」
その企業では、5Sにも取り組み工場内は整理整頓されています。また、機械の稼働状況や品質状況なども把握し、現状は掲示板に掲示し、従業員に周知しています。しかし、品質向上や生産性向上の全社的な取り組みについてお聞きしたところ、管理職を中心にした一部の人は品質向上や生産性向上の研修は受けたことはあるが、全社的な取り組みにはなっていないとのことでした。
《行動変容の取り組み》
そこで、研修に参加したリーダーを中心に職場の問題点を改善し、生産性を向上する取り組みを行うことで、リーダーの行動変容を促したらどうだろうということになりました。
その企業では、不良品が発生した際、品質管理課が中心になり、流出防止や原因分析、再発防止策に取り組んでいます。今回はさらに踏み込んで、職場の品質上の問題点を事前に取り上げて生産現場から不良品を作らない体制を作る取り組みです。併せて、その活動を通してリーダーが職場の課員を巻き込んで一緒に活動する中で、成長を促すことも目指しています。
《品質向上をベースにした生産性改善の具体的手法》
1.ムダ取り/タクトタイム改善:
ロスを顕在化し、ムダと設備ロスの削減が重要です。
2.継続的改善の実施:
小さな改善を積み重ねることで、長期的な生産性向上を図ります。これには、従業員一人ひとりのアイデアや改善提案を積極的に取り入れることが重要です。
3.標準作業の確立:
全ての作業において標準化を図ることで、品質のばらつきを減らし、一貫した生産を実現します。標準作業は、効率的な生産プロセスの基盤となります。
4.教育とトレーニングの強化:
従業員のスキルアップを図るための継続的な教育とトレーニングを実施します。熟練した従業員はミスが少なく、高品質な製品を生産することができます。
5.品質管理ツールの導入:
QCツールや統計的品質管理(SQC)などのツールを活用し、品質の分析と改善を行います。これにより、問題の早期発見と迅速な対応が可能となります。
株式会社エルシーアール 参与 大木 啓樹