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デューデリジェンスとは

2025.09.11 ビジネスコラム

M&Aの話を聞くと、「デューデリジェンス」という言葉が出てきます。
通常の業務ではあまり使わない用語ですが、デューデリジェンスとは、譲渡企業が表明している経営の現状や事業内容が本当に妥当な内容かどうかを精査するため、譲受企業が譲渡企業に対して行う調査のことです。

日本語では買収監査と言い、頭文字をとって「DD」と表現されることもあります。M&Aを進めるにあたって、最終的な譲渡契約を締結する前に、譲受企業が譲渡企業に対して、これまでの契約書類や勘定元帳、その他さまざまなリスクがないかどうかを現地調査などによって行い、最終結論を出すための判断材料にします。

デューデリジェンスの目的

デューデリジェンスを行う主な目的は、対象企業の財務、運営、法務上のリスクを事前に特定し、経営状況を可視化することで、買収の可否判断や買収価格の妥当性を判断します。これを行うことで、契約後のリスク回避や、条件交渉を有利に進めることができます。

デューデリジェンスの種類

財務デューデリジェンス

一番多く行われる監査であり、譲渡企業の財務状況(決算書、収益性など)や財務データには表れてこない簿外債務を調査し、会計処理の適正性、財務の健全性や実態の確認を行います。通常は、公認会計士や監査法人が担当することが多く、譲受企業の顧問税理士が行うこともあります。監査法人に依頼したケースでは、3人の担当者で丸二日間を要し、買収監査費用は、300万円ほどになったケースがありました。

法務デューデリジェンス

対象企業が法的に適切な対応で事業を行っているかを見る監査で、法的なリスク(契約上の問題、訴訟履歴、許認可の状況、機密情報や個人情報の適切な法的取り扱い、知的財産など)を評価します。監査を行う際は、弁護士に依頼することが多い分野です。

税務デューデリジェンス

譲渡企業が行ってきた過去の税務申告や納税履歴が適切なものであったかどうかを確認し、特に未払税金や税務上のリスクの有無を特定します。監査を行う際は、税理士が担当します。

事業(ビジネス)デューデリジェンス

譲渡対象企業の現在の事業実態やビジネスモデル、買収後の市場競争や将来性などを調査します。また、譲受企業の事業戦略と譲渡企業のビジネスモデルがM&A後にどの程度のシナジー効果を発揮できるかを分析する監査です。

人事・労務デューデリジェンス

組織の構成や人材の年齢バランス、人事制度、労務問題、業務プロセスにおけるキーマンの把握とリスクなどについて調査します。また、残業代の未払いがないか、過去の業務上災害に対する対応が適切であったか、労働争議に発展し得る案件が存在しないかどうかを確認します。

環境デューデリジェンス

譲渡企業の対象用地における環境面のリスクを洗い出す調査です。通常は、土壌汚染リスクや排気廃水、遵法性などの適正さを確認するため、環境調査会社に依頼することが一般的です。特に譲渡企業がこれまでに鍍金事業を行っていた場合や、産業廃棄物が敷地内に埋設されている可能性があるケースなどの場合に行うことが多いです。

ITデューデリジェンス

対象企業の情報システム、情報漏洩リスクに備えたセキュリティ上の対策、ITインフラの整備状況と不備などを調査し、M&A後、適切な状態に譲渡企業を整備するためにどれくらいのリスクやコストになるのかを適切に評価します。

M&Aを行う際は、譲渡企業と譲受企業の間で情報や認識のずれが生じるものです。デューデリジェンスは、その乖離を埋め、譲受企業がリスクを抱えたままM&Aを進めることを回避するための重要なプロセスといえます。

株式会社エルシーアール 代表取締役 荒井 浩通