【コラム】現代版「風が吹けば、桶屋が儲かる」が起きた
新型コロナウイルスで世界中が大混乱しています。経済は大きなダメージを受け、今後もその深刻さは増していくでしょう。学校休校も続き(ようやく登校が始まりましたが)、その学力低下や学生や子供たちの進路への影響も懸念されます。多くの部活動の大会中止もショックです。当事者が本当にかわいそうに思います。
“新型ウイルスが生まれると、ホットケーキの粉が店頭から消える”
先日、家族で「週末、ホットケーキを作ろう」という話になり会社帰りにスーパーに寄ったところ、材料であるホットケーキの粉が売り切れていました。いくつかのスーパーで探したものの、売り切れ状態は同じ。マスク・消毒用アルコールは入手困難、カップ麺・パスタ麺が品薄傾向であることは知っていましたがホットケーキの粉までも。なぜなのだろう。テレビの影響によるスーパーでの「納豆売り切れ」「バナナ売り切れ」は過去にもありましたが、今回は背景が明らかに異なります。
今でもロジカルシンキングの題材として用いられることも多い「風が吹けば、桶屋が儲かる」がありますが、「新型ウイルスが生まれると、ホットケーキの粉が店頭から消える」が起きているわけです。
「風が吹けば桶屋が儲かる」
「風が吹けば桶屋が儲かる」は通説としては以下のような因果関係をもって成り立つとされています。
風が吹くと、砂塵が舞い上がる ⇒砂塵が舞い上がると、失明する人々が増える ⇒失明する人が増えると三味線弾きが増える(昔は盲人の職業として三味線弾きが多かったとの説に依ります) ⇒三味線弾きが増えると三味線が売れる ⇒三味線が売れると材料である猫が減る ⇒猫が減るとネズミが市中に増える ⇒ネズミが市中に増えると桶がかじられて穴があく ⇒桶が売れるので桶屋が儲かる
この論理は、ものごとの「因果関係」をヒントにアイデアの展開や新たな創造に導くことなどにもよく用いられています。ただ、それぞれの事象の発生率も加味すると「風が吹いても桶屋は儲からない」とも言われますが、この通説の論理がこのようになっているのです。
新型ウイルスとホットケーキの因果関係
では「新型ウイルスが生まれるとホットケーキの粉が店頭から消える」のどういう因果関係があるのでしょうか。
新型ウイルスが遠い国で生まれる →海外渡航者により、いつのまにか国外にウイルスが渡る →有効なワクチンがないので市中でウイルスに感染し発症する人が増える →感染拡大防止のために休校要請・緊急事態宣言が発令され、学校が休校になる →休校により自宅で料理やケーキ作りをする親子が増える →ホットケーキの粉が飛ぶように売れ店頭からなくなる
こんな流れが日本全国で現実のものとなったのだと私は理解しています。
対岸の火事ではない
今回の新型コロナ禍を見るに、グローバル化によってたった一つのインシデント(事故や出来事)が世界中を短期間のうちにパニックに陥れ、健康面、経済面に多大な影響を受けることが起きてしまったことは変えられないし、これからも当たり前になってくると考えなくてはいけないようです。もう対岸の火事だ、などと言えないことを私たちは肝に銘じなければならないようです。
株式会社エルシーアール 事業推進部 部長 若色 宏幸