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【コラム】企業文化と人材育成

1.新人教育について

私の企業人生での経験を通じて企業文化と人材育成の関係について感じた事や、現在にも通じる部分について6回に分けて掲載したいと思います。読者の皆さんの参考になれば幸いです。

第一回目は“新人教育について”です。

充実した新人教育

まず、私が新卒で就職した企業の新人教育の充実ぶりをご紹介します。この会社は神奈川県のトラックメーカーの子会社で、キャビンの設計製造が主な事業でした。キャビンの外板はデザイン形状なので機密の観点から内製されます。その為、木型から金型製作、プレス、溶接、塗装、組立て、検査、出荷まで全ての工程が自社工場に存在します。

新人は二人一組になり、全ての工程を一か月単位で経験します。感心したのが現場の方たちの温かい対応でした。

やっと仕事を覚えたと思ったら次の工程に移るので、受け入れる現場は大変だったと思いますが、どの工程でも丁寧に指導してしていただき、その合間に各部署の研修、主要取引先メーカーの見学など盛りだくさんのカリキュラムでした。

思い返せば、入社前の内定式後に会場出口で社長が学生一人一人に丁寧に頭を下げて“よろしくお願いします”と強く握手して頂いて感動しました。

この様に、社長が社員を大切にしている事が社内で共有されているからこそ、会社全体で新人を大切に育てようという雰囲気が感じられました。これは社長のトップダウンであり企業文化です。そこから新人を大切に育てる社風、社内風土に繋がっています。配属後も先輩/上司の丁寧な指導で安心して伸び伸び仕事が出来る環境でしたし、実習のお陰で現場/部署と顔が繋がり、仕事し易かった事を覚えています。

 

企業文化が人を育てる

その後、転職した会社は前社と対象的な企業文化でした。その特徴的な部分について書いてみます。
基本理念にある人間平等(自立、平等、信頼)の平等は “意欲のある人には等しく機会が与えられる”、創業者から継承されいる語録の“技術の前では皆平等”、“能ある鷹は爪を出せ“、”出る杭は伸ばせ“ などなど自主/自立を重視した言葉が並びます。

こういった企業理念、社是、創業者語録は他社同様に新入社員研修で学びます。配属後、上司から新人の考えや判断の余地を残して業務を付与します。新人は疑問や分からない事は先輩/上司に質問しますが、その時は必ず先輩/上司は“君はどう考える?”と問いかけます。いわゆるコーチングですが、これを徹底しています。

自分で情報を集めて仮説を立てて考える様に導き、その上で自分の考えを持てば遠慮なく先輩/上司と対等に議論出来るのでモチベーションも上がり、能動的になります。“自分の考えを持つことから全てが始まる。”これが習慣になり先輩/上司や仲間と意見をぶつけ合い、自分の考えがブラッシュアップされ、気が付くと仕事が自分事になっています。まさに自由闊達な議論が出来る風土が有ります。先輩/上司もそうやって成長して来たので新人にもそれを期待するのです。大切なのは突き放すだけで無く、日頃の声掛けやミーティングでの進捗確認など、細やかなフォローです。

こうして仕事の基本である報連相も含めて、OJTでの実践訓練により、速やかに自立を促します。

 

企業文化の違いと新人教育

前者は社長のトップダウンで充実した丁寧な教育体制、後者は継承された徹底したコーチングでひたすら自立を促す。
これも、企業文化の違いが教育の違いに表れていると思います。あなたの会社はどちらに近いでしょうか?

次回の第二回はコミュニケーションについて書きたいと思います。(つづく)

株式会社エルシーアール コンサルタント 坂本 靖則

 

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