【コラム】企業文化と人材育成⑤
5.ベテラン社員について
私の企業人生での経験を通じて企業文化と人材育成の関係について感じた事や、現在にも通じる部分について6回に分けて掲載したいと思います。読者の皆さんの参考になれば幸いです。
第五回目は“ベテラン社員について”です。
皆さんの職場でも経験や知識があるのにモチベーションが低いベテラン社員を見かけますでしょうか?
定年延長など働ける年齢が高くなる中で課題と捉えている企業も増えています。
今回は前職で実施したベテラン社員の活性化研修の経験も交えて書いてみたいと思います。
ベテラン社員の状況
一般的にベテラン社員とは、40代後半から60歳代で管理職ではない社員を指します。
バブル崩壊後はどの会社も正規採用を抑えているので、それ以前に採用したベテラン社員のボリュームが大きくなっています。
この年齢層になると管理職への昇進の可能性が少なくなり、リーダー役は将来有望な後輩に交代するなど世代交代を促され、上司や周りからの期待が感じられなくなります。
そして後輩の上司からは気を使われ、主要な役割も世代交代させられると活躍の場が無くなり、周りへは遠慮がちになり、更に存在感が薄くなってしまいます。
子供は大学生など教育費の負担が大きい世代なので転職はリスクが大きく、会社は辞められないので取り合えず割り切って会社に居る。この状況でモチベーションを維持するのは難しいでしょう。
この様に豊富な経験や知識を持つベテラン社員が活躍出来ない状況は会社にとっても大きな課題です。
そして今まで会社を支えてきた彼らにとってもこの状況は悲しい事です。
ベテラン社員の活性化研修
前職では部内の若手社員や管理職候補者の研修を担当していましたが、一部のベテラン社員のモチベーション低下が気になっていました。
その頃、部長から“ベテラン社員の元気が無いので研修を考えてほしい”との要請が有り、準備を始めると世の中にはベテラン社員研修が沢山有り、他の企業でも課題になっている事が分かりました。
一般的にこの種の研修は“経験やスキルの棚卸とそれを踏まえて今後の自身の仕事を考える”内容ですが、この課題は本人だけでは解決出来ないので、研修の最後に今後の自身の仕事を部課長に直接提案する時間を設けました。研修後は提案の実現に向けて、定期的に上司と相談して相互理解を進める事にしました。
研修前の受講者は普段は活気が感じられず心配でしたが、いざ研修が始まると前向きな議論で盛り上がり、元気に活躍していた頃が蘇った様に活気に溢れていました。
今後の自身の仕事については研修だけで終わらず、部課長に直接提案するので最後までモチベーションが高く、真剣に考えた提案がなされていました。
結果は受講者にもマネジメント側にも好評で、未受講者向けに第二回目も実施しました。
ベテラン社員が元気に活躍する姿を見れば若手も将来のキャリアを心配せずに仕事が出来るでしょう。
労働人口が不足する将来に備えて年齢と仕事の関係も見直す必要があるのではないでしょうか。
皆さんの職場でもモチベーションが低いベテラン社員が活躍してほしいと思ったら、研修にマネジメント層も参加して一緒に考える時間を作ってみては如何でしょうか。
次回の第六回は、社風の大切さについて書きたいと思います。
(つづく)
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