【コラム】海外勤務で思うこと①

1.海外で人気な日本製品


日経平均株価が2月にバブル期の1989年に記録した最高値を超え、史上最高値を34年ぶりに更新、3月4日には東京株式市場初めて4万円を突破しました。最近の円安と好調な企業業績が理由の一つで、日本企業の信頼度がこの好調を支えているのではないでしょうか。
 
長年の海外駐在で感じたこと、現地での仕事、生活で感じたこと、日本との違いについて、6回にわたり書いていきます。まず第1回目は海外で人気な日本製品についてです。

2005年から5年間アメリカ駐在、2012年から7年半インドネシア駐在をしておりました。アメリカではオハイオ州コロンバス、インドネシアではジャカルタに住んでいました。

海外では日本製品が高い人気を得ています。長年に亘り、お客様が望まれるような価値をもった製品を生み出し、その生活の向上に役立って来たということだと思います。

ゲーム機では、日本製品が大変な人気で、アメリカ駐在時に発売された任天堂のWiiは、早朝から並んでも手に入らない状況でした。
文房具も人気で、インドネシアでは日本の消せるボールペンを、お土産で買って帰ると大変喜ばれました。

自動車の分野では、世界中で強い競争力を維持しています。日本車は高い性能と信頼性と、生産技術の高さで、世界中で高い信頼感を得ています。  
海外駐在中はアコード、シビック、CRVに乗っていました。その中でもアコードは何台も乗り継ぎましたが、素晴らしい出来だと感じていました。燃費、操安性、静粛性、動力性能、どれも素晴らしかったです。

夏の休暇で家族とカリフォルニア州にあるデスバレー国立公園に行った時のことです、海抜がマイナス86mで砂漠の中にあり、アメリカの中で最も暑く、最も乾燥した場所です。その日も50℃近い外気温でした、谷底からは長い上り坂を上らないと抜け出せないのです。アコードは水温計の針も上昇することも無く、長い上り坂を抜けきったのですが、途中の路肩で、オーバーヒートと思われるアメリカ車が、ボンネットを開けて止まっていました。外気温が50℃近い場所での車の故障は命にかかわる問題です、きっと次に買う車は日本車を選ぶに違いないと思いました。

北米では冬の寒さも厳しいところがあり、オハイオ州の冬はマイナス20℃を下回ることもあります。極寒地での車の故障は、命に関わる問題です。治安の悪い地域で、車が止まってしまうのも大変危険なことです。車は人の命を預かる大事な製品です。故障しないということが本当に大切なのです。

日本車の品質の良さがアメリカで認められ、性能もよく、値段も手頃、現地で生産されていることもあり、最も売れているのです。
しかしながら、日本の家電製品は、機能や品質が高く評価されていても、価格競争で、中国のハイアールや、韓国のLGやサムスンに世界の主役の座を奪われてしまっています。
最近の日本製品は過度な品質重視や、過去の実績に囚われて、革新的なことが行えなくなっているのではないでしょうか。業界水準を気にし過ぎたり、新しい技術に対して、問題点ばかりに目を向けすぎて、無難な選択しか出来ずにいるのではないでしょうか。

かつて圧倒的な強さを発揮していた日本製品も、価格や革新技術で中国、韓国、アメリカに差をつけられています。今後は日本製品の品質の良さは維持しつつ、将来に向かっての独自技術、革新技術の開発を重視して行く必要があると思います。これからの日本企業は、変革に取り組む意識改革が重要だと感じます(つづく)


株式会社エルシーアール コンサルタント 秋間 和洋