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【事例】人事考課制度 再構築プロジェクト

対象企業:産業用ロボット製造業
受  講  者:管理職(部長6名)
研修内容:PJ(プロジェクト)型の半日研修12回実施

再構築前はバラつきと不確かさの集合体

創業から40年、茨城県筑西市にあるFAの製造会社(年商12億円)は、技術力を活かして、産業用ロボットの制作を武器に急成長してきた社員数120名の会社である。
従業員は20代30代も多く、エネルギーに満ちた組織である。
しかしこの会社にも課題があった。
技能伝承と若手社員の自己肯定感向上、および承認欲求の醸成が課題であった。
この会社では、30代で創業した社長が、現在も独自につくった評価制度で、賞与時期に合わせて社員の評価を行っている。
そしてこの評価システムは、社長による勘でつくったもので、妥当性を検討したことはないようだった。
運用場面では、この評価システムでは、6人の部長がそれぞれの部門全員を評価するという仕組みになっていた。

評価システムの再構築

長年、このような流れで行ってきた評価制度であるが、客観的に見ても部長ごとによっても評価が甘い人・きつい人がいたりと、ばらつきがあることが明らかであった。
また評価している対象事項も、本当にそれが正しいのかどうかも不確かさが残る状態であった。
そこで社長は、管理職の育成も兼ね、以下の点をポイントに置いた評価制度の再構築をすることにしたのであった。
 ・業務実績に貢献できている行動が何なのかを抽出したものを評価対象事項にしていく
 ・成果を上げる社員、成果が伸び悩む社員の行動の違いは、どんな点で差が生じるのかを分類していく
 ・等級ごとに求められている評価対象行動の重要性は何なのかを検討していく
 ・業務行動、能力の高低、意欲面の高低を等級によって差をつけていく
 ・進め方は、部長6人の考え方を前面に出して文書化していく
上記のポイントをもとに再構築を進めた結果、社長が理想としている評価システムが完成したのであった。

システムの質的向上支援(賞与・考課者研修)

さらにせっかく作成した評価システムを効果的に運用するため、賞与制度の構築と、評価をする人が質の良い対応ができるよう人事考課者研修会を3回にわたって実施することとした。
評価者研修は、以下の内容を中心に実施した。
・1回目:評価点の客観的捉え方(ケースドラマ型)
・2回目:評価場面の適切な捉え方(ケースドラマ型)
・3回目:評価面談力の向上(コーチング型)
正しい評価の実施と、面談時の育成力開発を目的とした、評価者研修会であった。

また賞与制度にも着手した。この会社では、賞与の原資を会社が決め、それを各部門、各等級ごとに評価結果を基本給に反映できる賞与制度をつくるようにした。
結果、これまでよりも高い水準での評価結果が導き出せる賞与制度が完成したのであった。

このプロジェクトにより、管理職である部長たちは、「仕事の成否を決めることは、何が重要なのか」、「社員によって差がついているポイントはどこなのか」、「等級によって求められる業務の違いとは何なのか」という点が明確に分かるようになったのである。
いわゆるKPI(Key Performance Indicator)が自社にとって何なのかを認識することが、自らの手によって理解することができたのであった。

株式会社エルシーアール 代表取締役 荒井 浩通

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