【コラム】リスクをチャンスに変えてイノベーション②
2.リスクのとらえ方
事業継続のための中期計画
組織は、トップが掲げる経営方針・ビジョンの元、活動の現状を分析し、将来の事業環境を見据えて、具体的に細部のアクションプラン化していきます。如何なる組織・企業においてもこれらを中期計画にしているものと思います。
但し、これらを全て論理立てて、密接な関係をもったものとしていない場合が多々見受けられます。
これは、中期計画を立案するときのリスクや機会などのバックボーンの捉え方を疎かにしてしまう場合が多いように思います。
どんな大きな企業や組織であっても、小売店であっても、現状や先を見通した中期計画の元、変化していくことが重要になります。そして、事業継続のためにリスクの捉え方とそれに対する変化を起こす取り組みをする準備をしなければなりません。
リスクは課題ではない
組織や企業がリスクをリストアップすると、捉え方を誤り、現状課題のリストを作り上げることが多々見受けられます。
対策が講じられる場合は課題として捉え、解決に変えることができます。
リスクは先見性
リスクはこれから先に起こり得ることですので、それを想像する力も必要になります。未来予知能力ともいえるかもしれませんが、当然のことながら、それを抽出することは非常に困難であることも確かです。
例えば、現状起こっている「コロナウィルス感染症(COVID-19)」をリスクとして上げていた企業や組織はあったでしょうか。皆無であることは間違いありません。
しかし、過去に起きたSARSやMERSでパンデミックを迎えた国々では当初、感染数を押さえたともいわれています。これは経験に基づき、いつ再来するかもしれないとの備えをもっていたということでしょう。
また、同じ感染症でもインフルエンザにおいて、集団予防接種を実施している企業もあります。これも事業停止のリスクを回避するための予防措置といえます。
これらは先に起こり得ることを、“経験に基づいた対処”としています。
リスクマネジメント
本コラムを読んでおられる方はリスクを如何にマネジメント、もしくはアセスメントするかをご存じでしょうか。
簡単に申し上げます。
①認識
リスクの特定とは、組織に影響を及ぼす事象を認識することです。そして、これまでの経験や現状を捉えることから始まります。そして備えることが必要になります。
つまり再発すること、もしくは現状の延長上に起こり得ることをリスクとして抽出します。
このときの効果的な抽出方法のひとつとして、組織員からの幅広い視野を活用したブレインストーミングすることがあります。あまり、トップやベテランだけでの偏りのある抽出としないことが効果的かと思います。
②評価・定量化
そして、それらのリスクをブラシュアップしていきます。この際は、一つひとつの項目を定量化することが重要になります。
リスクの評価・定量化とは、各リスクを分析して、その影響の大きさによって分類することです。
定量化しても単位が違うと影響度として比較し難い状態になるため、各リスクの重み付けを測るべく、顕在化した場合の負の費用化することをお勧めします。
③対処方法の考案
そして、重み付けされたリスクの順に処置方法を決定します。
その取り組み手段としては、以下の5つの捉え方があることを知っておくべきでしょう。
1.回避
2.受容
3.監視
4.軽減
5.移転
④発生の日常監視
リスト化したリスクを定期的に顕在化の可能性を監視していきます。そして、リスクが顕在化した場合、回避したり、軽減したりすることが可能な状態としておきます。
もちろん、項目によっては日々、月々、年々等、確認頻度は違います。
次回はリスクを回避・受容し、チャンスに置き換える取り組みについてお話します。(つづく)
株式会社エルシーアール コンサルタント 亀田 勝
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