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【コラム】海外勤務で思うこと⑤

5.海外の人材活用

日本で働く外国人労働者は2023年10月の時点で、初めて200万人を超え、これまでで最も多くなったことが厚生労働省によって発表されました。

長年の海外駐在で感じたこと、現地での仕事、生活で感じたこと、日本との違いについて、6回にわたり書いていきます。第5回目は海外の人材活用についてです。

発展途上国の人件費は、日本国内の10~20%程度と言われています。日本の生産人口は今後減少し、人手不足はますます深刻になっていくでしょう。

転職に対する考え方も日本とは違っています。アメリカでは一生のうちに5,6回の転職をするのは普通とのことでした。5年に一回程度は転職するということです。

アメリカ人の従業員を今後の期待をこめて、昇進させたことがあります。そのことにより、転職時のタイトルが付き、好条件で転職をしていきました。結果、要員構成で穴が空き、育成計画も練り直しになりました。海外では要員計画は余裕を持っていないとダメだということです。

インドネシアでも、現地採用で、最初に採用し中核まで育てた人材に何人も辞められました。海外の人材は満足がいかなければ積極的に転職し、仕事に対して熱意を維持し続けるのです。日本ではイタリア人は勤勉では無いと思われがちですが、イタリア人との仕事では、夏の長期休暇でオーストラリアのビーチにいるときでも仕事の対応をしてくれ、業務が滞ることなく進みました。このように、外国人の仕事に対する姿勢や効率の良さ、自己主張力能力など、学ぶべきことも多くあります。
 

日本採用として、インドネシアでの採用活動に関わったことがあります。1人採用の枠に600人の応募があり、1次選考で20人ほどに絞りこまれた人物の面接を行いました。インドネシアのトップ大学ばかり、専門知識も、熱意もあり、自分の考えをしっかりもった優秀な人材ばかりでした。

インドネシアの大学では専門書が英語で書かれているものしかないため、授業も英語で行われ、生徒は英語が堪能です。採用後は日本での半年間の日本語研修で、通常の業務を日本語で行えるようになるのです。このように、途上国には優秀な人材が豊富であり、自国の発展の為、家族の豊さのため、将来の希望を持って一生懸命に勉強し、仕事にも取り組みます。

外国人の文化や考え方の違いを理解することで、新しい価値を創造出来る可能性があるのです。仕事に対する姿勢や熱意も閉塞感のある日本に良い刺激となり、海外の合理的な考え方も仕事の生産性を高めることになると思います。世界の共通言語である英語も普及しさらに相互理解が進むでしょう。
 
多文化を受け入れ共存していくことで、そして外国人と日本人が協力しお互いに利益を生み出し享受することで、相互に満足感、達成感を得ることが出来るのです。質の高い外国人材と協力しあうことで、人口減少、少子高齢化の進む日本が、持続的に発展し、物質的、精神的に豊かになっていくのではないでしょうか。

(つづく)

株式会社エルシーアール コンサルタント 秋間 和洋

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