【コラム】KPIを活かす

 

 

 

 

 

 

KPIとは

研修会やコンサルティングを進める上で、業界を問わず、使用するキーワードがあります。その一つがKPI(Key Performance Indicator)とKGI(Key Goal Indicator)です。今回は、この中のKPIについて一緒に考えたいと思います。

まず、KPIもKGIのどちらも目標の達成ということに関しては、絶対に欠かせない指標です。まずは、それぞれの意味を確認します。

KGIは、組織などの成果に関する重要なゴールとなるべき目標。つまり最終的な目標で、多くの会社は、売上高が共通項目として設定されます。その他、工場であれば、生産数の目標値などがあげられますね。

次にKPIとは、KGIを達成するために、各々のプロセスが適切に実施されているかどうかを定量的に評価するための指標としての目標で、重要業績評価指標とも呼ばれています。おもには、KGIの途中目標値や、それを達成するために必要な重要な成功のカギとなる行動などを定量目標としたものを、KPI(重要業績指標)と呼んでいます。

KGIとKPIの関係性を理解するために一つ例を挙げてみます。例えば、「朝8時の時点で、今日の夜までに、宇都宮から広島へ行く」ということをゴールの「目標」にしてみます。夜に広島に着くためには「正午までに名古屋を通過する」必要がありますね。それを小目標と設定します。この際、「今日の夜までに広島へ行く」という最終のゴール目標がKGI、「正午までに名古屋を通過する」という小目標がKPIとなるのです。

ここで注意しなければならない点があります。KGIは曖昧な指標である定性目標では意味を成しません。だから、誰でも分かりやすく判断できるよう、定量目標という、結果が判定可能な具体的な数値を設定し、明確な判断基準としておくことが基本となります。

例えば「お客様にもっと満足しもらう」という目標では、KGIとしては不明確ですね。
お客様の満足度を上げて、購買平均金額や来店のリピート率を工場させることが目的とすれば、KGIの設定として、「現在のリピート率15%を、1年後、35%にアップさせる」「1年後には、一顧客の平均購買金額を1,000円から2,000円にアップする」と設定すればOKです。

KPI活用のポイントは、「SMART」

①S ⇒ specific:目標が明確かつ具体的
目標は、明確でなければ、取り組み途中で、意識が集中できなくなります。例えば、『労災を発生させないよう気をつける』や『スキルアップを心掛ける』、『毎日、全力で頑張る』などは、一見、好ましい目標に見えるかもしれません。
しかし、これらの目標の場合、いざ行動に移そうと思った時に何をどのようにどれくらい頑張ればいいのかを考えた時に、動きが定まらなくなります。目標はただ立てれば良いというものではなく、関わる者が、共通の認識を持って、目標達成に向けていくために、明確性や具体性ということが欠かせないのです。

②M ⇒ measurable:成果が計測(比較)可能
次に、定性目標よりも定量目標を設定します。頑張ってはいるけれど。自分が一体どれくらい頑張れているのかが、ハッキリと分かったほうが、その後の頑張りも、より明確に力を発揮できますね。よく使用される目標に新規顧客への飛び込み訪問数、見積書の提出数など、回数や件数を数字で表すことができる定量目標を設定しましょう。

③A ⇒ achievable:達成可能が現実的
誰でも人は、自分が頑張れば、目標達成できると思える目標だとやる気が出てきます。
チームとして目標に取り組む場合も同じです。『誰が』、『何を』、『どのように』実行するのかを明確にして取り組む必要があります。
それをないがしろにし、チーム内のメンバーの目標値に大きなばらつきを生じさせたまま活動をスタートさせても、大きすぎる目標値を持った社員は、やがてやる気をなくして、活動が遅滞してしまうでしょう。だから、目標の設定には、各人が「よし、やれる!」と腹をくくれるレベルのものである必要があります。

④R⇒ relevant:組織方針・目標との関連性
エンゲ―ジメントという言葉があります。ウェディングの世界では、エンゲ―ジメントリングと言って結婚指輪を意味しますね。組織の活動の場合、組織の目標や方針と、個人個人が取り組む目標の方向性に整合性が取れていることを意味します。自分が頑張れば、間違いなく組織のためになるとの意味になります。
「何のために頑張るのか」そして、組織が考える「当社は何を目的として社会に貢献するのか」この一致があれば、皆、ベクトルを合わせて取り組むことが出来ますね。

⑤T ⇒ time related:時間軸の設定
Timeは『時間』、relatedは『関係のある』または『関連した』という意味があります。
人は無期限の中で頑張り続けるよりも、期限を設けてメリハリのある頑張りをした方が、しっかりとエネルギーを集中させること出来ます。つまり適切な期限設定を行うことで、「今、自分はこの期間の中で何をするべきなのか」を明確にします。結果、程よい緊張感で目標達成という各自のミッションに取り組みことができることでしょう。

以上のように『SMART』を意識して、KPIの達成に向けた取り組みをすることで、御ル目標であるKGIの達成を果たすことが出来るようになるでしょう。

株式会社 エルシーアール 専務取締役 荒井 浩通