今、増えている基本研修「働くことの意義」

今回はここ数年で増えている「働くことの意義」について研修の話を書かせていただきます。

《何故いまさら「働くことの意義」か?》
いくつかの企業の例をご紹介します。

例1:創業社長からの相談「急激に成長し、社員の意識を底上げしたい」
起業から10数年で社員約100人・年商40億円弱の社長からの相談は次のようなものでした。
その社長は数年後には一人当たり年間で5,000万円稼ぎ、社風や社員の待遇面でも安心して働ける会社にしたいとのことです。
しかし、幹部社員は30歳代後半から40歳代前半の人が多いのですが、いわゆるマッチョ(かつてのCM「24時間戦えますか?」のようなイメージ)で「自分で考えて行動できる」人が、「指示待ちで自分で考えない」最近の若手のレベルアップをしたいとの相談でした。

例2:2代目社長からの相談「ベテラン社員の模範となれるように働いてもらいたい」
その会社は先代社長時代から地域での信頼も厚く、長年業績も堅調に伸びてきました。ここ数年、若手社員も入ってきて社内も活気づいて来ました。そんな折、ベテラン社員が仕入れ先とのトラブルを起こし、社内でも「〇〇すべき」などの命令調で話すことも多く、あの人とは働きたくないという意見が出ていました。
また、その会社は建設業ですが、現場での仕事が早く終わって、定時間前に帰社した社員がブラブラしていて定時になるのをただ待っている姿も散見されていました。
社長はそこで社内の風土改革にもう一度「働くことの意義」を全社員に考えてもらいたいと相談されてきました。

《2つの例に共通すること》
例1は若手社員の底上げで、例2はベテラン社員の働き方(意識改革)です。この2つに共通する点はいくつかあります。

共通点1:先ずは社長が今後のビジョンを持ち、現状を変えないと企業活動がうまく進まないと危機感を持っていることです。例1の社長は、いろいろやっているが徹底しないのは「俺の本気度が低く、それで社員が本気になってないんだ。俺が悪いんだ。」と言われていました。なんと素晴らしいことでしょう。

共通点2:「会社のビジョンが全社員に行き届いていない。」「幹部社員や一部の人は会社を良くしたいと思っているが、末端社員まで行き届いていない」と社長や幹部社員が思っていることです。

例2の会社では社長が全社員と面談をしました。短くても1時間、長い場合は約半日かけてじっくり社員の話を聞いたところ、「こんな社員から、こんなに前向きな提案がされるとは思っていなかった」と程度の差はあれ、どの社員も真剣にいろんなことを考え、話してくれたそうです。
例1の会社の若手はいわゆる「マッチョな仕事観」から見れば物足りませんが、多様な価値観と男一人だけの稼ぎではやっていけない時代背景を考えると、若手が何も考えていないわけではありません。

《では、どうするか?》
いくつかの取り組みを紹介します。

取り組み1:先ずは、社員のエンゲージメントを高める。
社長がこの会社で実現したいこと、すなわち「企業理念」を熱く語り、社員の気持ちを揺さぶり感動と共感を呼び起こす。
社員は程度の差はあれ、自分の仕事に誇りを持ち、どうしたいかを考えています。それに方向性を与え、ベクトルを合わせ、熱量を高める努力をあらゆる機会を通じて、繰り返ししつこく説明することが重要です。社長自身が話すことと同時に、弊社では「働くことの意義」などの基礎研修でお手伝いします。

取り組み2:コミュニケーションを高める。
共通点2で書いたように、命令型の組織ではなく支援型の組織で社員の自主性を伸ばし、育てることが重要になります。じっくりコミュニケーションをとり、社員のやる気を引き出すためには日ごろから感謝すること(実はほめることです)は当たり前ですが、間違っていることや力不足のことをしっかり伝えることです。それには基準が必要です。評価制度などで明確にする必要があります。

取り組み3:行動が変われば、思考も変わる。
人の考え方は簡単には変わりません。ベテランになれば、自分の今までの生き方が否定されるようなものです。でも不思議なもので、行動が変われば次第に思考も変わります。行動することで物事が具体的に見えるようになります。
初めの一歩を踏み出させることが重要です。特に最近の若手は自分の殻から飛び出さなくても今まで済んでしまっていることが多いので、不安感が伴います。こうすればいろんな意味で良くなるとメリットを具体的に示すことが重要です。
人は自分の仕事で自分が役に立っている、他人に必要とされていると感じる時に成長します。
弊社では様々な現場改善のコンサルティングで人の成長を手助けします。

《最後に》
今回は、基礎研修の「働くことの意義」からはじまる人材育成についていくつかの取り組みを紹介いたしました。株式会社エルシーアールの支援にご興味がある方は、是非ご連絡をいただければ幸いです。

                         株式会社エルシーアール 参与 大木  啓樹