【コラム】「付加価値」とはなにか ~付加価値 3つの使い分け~ 

 

 

 

 

 

 

「付加価値とは」

「付加価値」とはビジネスシーンでよく飛び交う言葉です。でもよくわからないという人も多いでしょう。

「この板に穴を開ければ付加価値が付くね」「貴社の商品にはA社に比べてどんな付加価値がついていますか」「付加価値額は9000万円」いずれも「付加価値」を用いた会話ですが、いずれも意味は異なることがわかります。

付加価値とは付加された価値(Added Value)ですが、価値を提供する側、される側、対象が何であるかで意味は異なります。今回は事例を用いて3通りに簡単に整理してみます。

 

その1 モノやコトに与える付加価値

例えば、コロナ禍で急速に広がったフェイスシールド。

PET(ポリエチレンテレフタレート)素材のシートを用いて、顔に合うようにカットを入れ、穴を開ける加工とゴム紐をつけてサイズを調整するだけで簡単にフェイスシールドは完成しました。1枚のPET素材を材料に加工を施すことで「飛沫を防ぐ」というとても高い付加価値がついたことになります。これはモノにつける付加価値と言えます。

 

その2 他社よりも優れた製品やサービス

フェイスシールドは今や数多くの商品が出回っていますが、何らかの特長や他社よりも優れた点を持たないと誰も買ってくれません。例えば、ウレタンシートをつけて額の接触を和らげるタイプ、取り外ししやすいタイプ、上からの飛沫を防ぐタイプ、色を付けたタイプ、眼鏡タイプ、とにかく安い、などの付加価値をつけて差別化を図ります。

どのフェイスシールドメーカーも他社よりも優れた点を「自社の付加価値」として開発・製造・販売していることでしょう。

 

その3 生産性を示す財務・会計用語

もう一つは財務・会計用語です。企業の生産性を示す指標として用いられ、具体的には売上高から外部に支払った費用で算出されます。

付加価値=売上高―外部への支払い費用

つまり、企業が内部資源(ヒト、モノ、カネ)でどれだけの価値を生み出したかという考え方です。(付加価値算出方法については、積上法(日銀方式)と控除法(中小企業庁方式)の2つがありますがここでは説明を割愛します。)

 

付加価値額の算出

例えばフェイスシールド製造会社の場合、売上高から、原材料のシート代・ゴム紐代・機械の燃料・光熱費など外部に支払う費用の総額を減算した額で計算されます。もし他社工場に製造を委託していればその費用も差し引いて計算します。(似た指標として限界利益がありますが、こちらは売上高から変動費を減算した額になります。少し異なります。)

単価1,000円のフェイスシールドを1万個生産・完売(1000万円の売上)、外部に原材料など750万円を支払った場合,

 付加価値=1000万円 – 750万円=250万円(付加価値率25%)となります。

 

企業は付加価値を追い続けることが大切

以上が3通りの「付加価値」です。

「付加価値」が用いられる場面としては、2の他社よりも優れた製品・サービスとして用いられる場合が多いです。企業は生き残っていくために日々「付加価値」を追い求める活動が求められてきます。

株式会社エルシーアール 事業推進部 部長 若色 宏幸