【コラム】北風ばかりじゃ人は育ちません、太陽でいきましょう

 

 

 

 

 

 

北風と太陽

「北風と太陽」有名なイソップ寓話の一つです。子供のころに読んだのではないでしょうか。旅人のコートを脱がせようと北風さんがビュービューと力いっぱい風をふかせて無理やり脱がそうとする。でも脱がすことはできない。
一方、太陽は暖かい陽の光をあたえる。体が温まった旅人は“自ら”コートを脱ぐ。

人づくりも同じかもしれません。
北風と太陽は人づくりの観点ではそれぞれ次のように例えることができるでしょう。

<北風>
例えば賞与や給与、昇進・昇格、もしくは減給や懲罰で部下を動かすやり方です。働く環境を良くしてあげることも北風にあたります。いわゆるアメとムチ。外部から与えられる動機なので「外的動機付け」と呼ばれています。

<太陽>
自分自身の理念に基づいて行動したり、他人への貢献、他人からの感謝や賞賛による「やる気」によって自ら積極的に仕事に取り組む姿といえます。これは自分自身の内なる行動意欲につながるので「内的動機付け」ともいいます。

ハーズバーグの動機付け理論

心理学者のF・ハーズバーグの動機付け・衛生理論でも同じことを言っています。

支配的・他律的である外的動機付けを満足させても(例:昇給してあげても)、不満を予防するだけの歯止めにしかならず、逆に不満足(例えば賞与が期待より少なかった)だと仕事に対する不満がたまり、やる気を失い業績の低下につながると言っています。(「衛生要因)と呼ばれる。)マズローの欲求5段階説との関連でいえば低次欲求(生理的欲求、安全欲求)しか得られません。
ちなみに外的動機付けを否定しているわけではありません。力量が未熟な部下や、リスクの高い仕事(例えば安全にかかわる業務)の指導の場では外的動機付けは必要と考えます。

一方、自主的・自律的である内的動機付けは、仕事へのやる気を増大させることができ、より良い成果、よりよい職場づくり、人として成長するなどのプラスに作用します。(「動機付け要因」とよばれる。)
マズロー欲求5段解説との関連では、高次欲求(承認欲求、自己実現欲求)が得られるといえます。

動機付け要因

部下・後輩のやる気を増大させる動機付け要因には次のようなことがあります。
・達成する :やりがいのある仕事を通して達成感を味わえること
・称賛・承認する :達成した結果を上司や同僚に認められること
・仕事がうまくいく :仕事の中に自分の知識や能力を活かせること
・責任を持つ :責任をもって仕事を任せられる
・成長する :仕事を通して能力が向上し、人間として成長できること

もしあなたが上司として部下の成長を望んでいるなら、北風と太陽のどちらを選びますか? 現在のあなたの上司としてのふるまいはどちらですか?


株式会社エルシーアール 事業推進部 取締役部長 若色 宏幸