新入社員向け“折鶴工場の社長さんになってみよう”研修 実施事例 栃木県県央部 製造機械の保守サービス企業

「経営感覚を学ばせたい」

新入社員研修といえば、学生気分から社会人へスイッチを切り替えることを目的とすることが多く、弊社でも多くの企業様で研修を行わせていただいております。働く意義を考えさせたり、ビジネスマナーを中心に学んでいただくのが一般的です。
ところが今回は社長様からの要望で、「入社早々、経営感覚を学ばせたい」とのリクエストをいただきました。そこで新入社員さんには架空の折鶴工場の社長さんになったつもりで、折鶴づくりを通して、経営するとはどんなことか、どんな困難があるか、そして社員に喜びを感じてもらうためには何が必要かなどを感じ取ってもらう研修を行いました。

折り鶴生産から学ぶQCDエッセンス

研修内での作業はグループ単位に折鶴を作るだけ。

まず1回目、用意した折り紙でグループ単位ごとに所定の時間内で折鶴を作ってもらいました。作り終えた鶴の質(丁寧さ、綺麗さ)はバラバラ。そこで「皆さんが購買者だったらこれらの折鶴を購入しますか?」と問うと「綺麗なのはほとんどない(品質が悪い)ので、これでは購入しない」との回答。

品質を上げるには

<講師>「では買っていただくためには何が必要ですか?」と問うと様々な意見が出てきました。
<受講>「一つ一つ丁寧に作らないといけない」「全員が同じ質の鶴を作らないといけない」「時間内につくらなければならない」などの意見が出ました。
<講師>「ではそれらを実現するには何が必要ですか?」
<受講者>「共通の手順書が必要だ」「よい工具があるとうまく作れそうだ」「作りやすい机があるとよい」「上手な先輩に教えてもらいたい」などの品質を上げるための様々な意見が出てきました。

生産性を上げるには

講師より「では1回目より生産性を上げてください!」と課題を出すとグループディスカッションを始めました。アイデアを発表させると「流れ作業が良い」「いや、ひとりで全部作ったほうが返って早い」「折紙や完成品の置き場を変えよう」「まず標準時間を設定しよう」「一人一人がスキルをあげれば早くなる」など時間短縮のアイデアが出てきました。

コストを下げるには

<講師>「ではもっと利益を上げるためにはどんなことができそうですか」と課題を出すと「材料(折り紙)は安いのを使おう」「でも安かろう悪かろうでは品質が心配だ」などの意見が出てきました。

このように様々な課題を出すたびにグループでアイデアが湧き出すように出てきました。
これらのアイデアを反映した2回目の制作作業では、どのグループも鶴の質が向上し、製作数量も大きく向上しました。
このあと、材料の値段、製品売価、生産数量、販売数量、製造経費などの数字を用いて利益がどのくらいになるか、利益を上げるためにはどの数字をどう変えていけば良いかなどを、パソコンを用いてシミュレーションしました。ちょっとした経営感覚が身についたようでした。

新入社員にはまずはマナーを学ばせることは勿論大切です。配属先の業務を早く覚えてもらって貢献してもらうことも大切です。一方で、早く時期から経営感覚を少しでもよいから感じ取ってもらうことは、全体を見る力、数字を大切にする力、また職場コミュニケーション、職場教育の大切さなどの理解にもつながるものと考えています。


                 株式会社エルシーアール 事業推進部 取締役部長 若色 宏幸