【事例】ISOはコンサルを受けているようなもの

お客様からのお問合せ

既にISOを取得しているお客様から「ISOは面倒だからやめようと思う」「維持するのに手間も費用も掛かるから大変なんだよ」とのお話を聞きする事があります。

新しくISOを取得しようとお考えのお客様も似たようなことを話す方がいらっしゃいます。良くお話を伺うと「ISOは面倒だ」というのは次のような内容です。1章から10章まであって、「各章にやることが細かく書かれているので大変だ」ということのようです。
「手間が掛かる」というのも「やり方を細かく決めて、おまけに記録も取らなくちゃいけないんだって」という事です。

では、仕事をするときはどう考えますか

今回お話を聞いた企業では、経営計画を立てるときに次のようなことを行っています。
① 自社がかかわっている業種の国内外の状況や課題を分析し、自社の強みを活かし課題を解決するために、経営の中長期の戦略を立てる
② 中期計画に基づいて、毎年の経営計画を立てる
③ 経営計画が達成できるように実行計画を立てる
④ 実行計画が進められるように、人や機械設備を準備し、やり方を決め、必要な資金や情報入手方法や手順書等を用意する
⑤ 計画に基づいて実施し、お客様に提出する書類(記録)を作成する
⑥ 毎月、仕事が実行計画通りに進んだかチェックし、結果をまとめる
⑦ 計画通りに進んでいない場合は、原因を探り挽回計画を立てる
⑧ 挽回するために、人員や機械設備の振り分けや作業方法を変える
⑨ 長期的に人を教育し、設備投資をし、情報伝達方法を整備し、計画を達成できる資源を準備する
⑩ 等々
これらは企業活動として必要なことで、見方によっては手間が掛かることです。

ISOの規格はどうなっているか

そちらの企業にISOの各章の説明をし、上記①~⑩の関係を説明しました。
4章:組織の状況(上記①)           5章:リーダーシップ(上記②)
6章:計画(上記②③)             7章:支援(上記④⑨)
8章:運用(上記⑤⑥⑦⑧⑨)          9章:パフォーマンス評価(上記⑥⑧⑨)
10章:改善(上記⑦⑧⑨&①②③)
これが今のISOです。

 

では、ほかのお客様でISOを上手く運用している企業は何をやっているか

事例1:事業活動は様々な品質や納期やコストや安全などのさまざまな側面を考慮して進めるので、
    ISOも統合して各章で品質や環境、安全等についてやることを決める
事例2:4章から7章は自社がやらなければならないことを、自社の実力に併せて決める
事例3:8章から10章は実際に企業活動でやっていることや使っている書類・記録を整備(使い易く)する

以上のように、ISOをどうするかではなく、実際の業務をISOを使って分かり易く、抜け落ちがないようにしています

ISOを最高に上手く使っているお客様は、社内ではISOという言葉は使わない

あるお客様は、長年ISOの品質も環境も労働安全にも取り組んでいます。
その会社にもISOマニュアルはあります。上記①の「自社がかかわっている業種の国内外の状況や課題を分析」や「自社の強みを活かし課題を解決する経営の中長期の計画」には「ISO4.1」や「ISO5.2」と最下段に表記されています。全てのISOの規格がこのように実際に業務で使う物に表記されています。社員は、ISOの世界基準に合ったやり方で日常の業務を行っています。

ISOの監査は、簡易的な経営コンサルを受けているようなもの

社内でISOという言葉は使わずに、ISOを運用しているお客様はISOの監査について「監査は経営コンサル」とおっしゃっていました。
更に、経営コンサルだと一部の幹部だけが対象だけど、ISO監査のという形にすると全従業員が対象になるので、会社の実態が良いところも悪いところもあからさまになって会社が良い方向に向くんだとのことです。

今回の事例報告がISOへの苦手意識克服の一助になれば、幸いです。

                             株式会社エルシーアール 参与 大木  啓樹