【コラム事例】環境ISOを経営戦略に活用する

 

 

 

 

 

 

~「大嫌い」が「いいね!」に変わるISO~
栃木県央 電気工事業 社員数25名 / インタビュー対応者 社長

環境ISOは負担になるとの思い込み

これまで同業他社がISO14001について取り組んできた事例を数多く見てきたK社長。そのほとんどが、「失敗した!環境ISOなんて導入しなければよかった・・・」とのボヤキと社員からのISOの取り組みに関する苦情であった。

実際、K社長は、その同業者がどんな取り組みをしているのかをきちんと見てみたいのだった。

するとその大きな要因は以下のようなものであった。
・第1位:「暑い時期には、熱中症寸前、寒い時期には冷え性は地獄」
・第2位:「コピー済み用紙の再利用で作業時間が増大」
・第3位:「廃棄物削減の行く末は、ごみの自宅持ち帰り」

まず、第1位の「暑い時期には、熱中症寸前、寒い時期には冷え性は地獄」とは、作業効率性を無視したレベルでの省エネの取り組みだった。

例えば真夏の猛暑日でも、オフィスの中は、窓を全開にして自然風を取り入れて凌ごうとしていた。冷房のスイッチをオンにできるのは、室温が28℃以上になった時だけだ。オフィス内のスタッフたちは、エアコンの電源を入れる直前には、午後になると頭が朦朧として眠気が襲い、とても仕事にならない状態。

逆に真冬は、ダウンを着てひざ掛けを用いて、ギリギリまで暖房のスイッチを入れないというありさま。

とても仕事に役立つISOではない。

次に第2位の「コピー済み用紙の再利用で作業時間が増大」とは、印刷済みでホチキス止めがなされた用紙をいちいちバラし、両面印刷がされたものと片面印刷の用紙をいちいち仕分けし、裏紙利用のリサイクルに回すというものである。この作業時間は膨大である。しかも要した時間がどれくらい経営に役立ったのかを考えると、情けなくなるくらい無駄な時間を過ごしたことに気づくのであった。

最後に第3位の「廃棄物削減の行く末は、ごみの自宅持ち帰り」という内容。ハッキリ言ってこれは廃棄物と清掃に関する法律に違反した行為となっている。

会社から出したごみは事業系廃棄物、一方、社員が家庭で出したごみは家庭ごみとして扱われることになっている。しかし、社員たちは、廃棄物を出したことに対して、環境管理責任者や上長に注意されることが怖いらしく、こっそりと自宅に持ち帰って処分する者もいたのであった。

注意されるかもしれないという恐怖感と、事業系ごみを家庭ごみにしてしまう法律違反への後ろめたさ。

こんなことから社員たちが、ISO14001は厄介者。そして同業者の間では、ISO14001はやらない方がいいとの噂話が広まっていたのだった。

大嫌いがいいね!に変わるISO

ISO14001の規格が、2015年末に大きく変わったことは、多くの方がご存じであろう。それまでは、主に環境負荷をいかに減らすかが大きな目的となっていた。

しかし新しくなったこの規格では、利害関係者としてのステークホルダーを明らかにし、自社にとっての追い風と向かい風の要因となるものを明らかにし、自社の特徴を活かし、かつリスク回避する対策を「環境」という観点から取り組むように変わってきたのである。企業によっては、本格的なSWOT分析を行う組織もある。

また、環境影響を評価分析する際に、これまでは「マイナスの側面(悪影響)」を重視した取り組みを行ってきた。しかし現在では、「プラスの側面(好影響)」を更に重視した取り組みを行いように変わってきている。

この電気工事会社の場合、「省エネ・創エネ・蓄エネ」という観点で、世界的な潮流となっている環境に配慮した新エネルギーの創造が自社の事業内容に合致していた。いわゆる成長産業分野である。

そこでK社長は、「省エネ・創エネ・蓄エネ」における工事に関して、顧客への提案件数を環境目標と定めた。すると営業担当者だけでなく、工事のために顧客に伺った現場代理人、ベテランの作業員たちが、こぞってお客様に提案活動をするようになったのであった。

言うまでもなく、売り上げに反映することとなり、社員が提案したものが契約になるとインセンティブを会社からもらえるという好循環が生まれたのである。

まさに「大嫌い」だったISOが「いいね!」に変わったのである。

株式会社エルシーアール 専務取締役 荒井 浩通

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