事例 組織の根幹を強化する『経営戦略委員会ドキュメント』

 

 

 

 

 

 

 

対象企業:農業機械製造業
受 講 者:部長、取締役
研修内容:毎月1回、1年間(計12回)実施

KKD(勘・経験・度胸)こそが幹部の証!?

創業から130年になる、群馬県に位置する農業機械メーカーG社。このG社は戦前から続き、自社にて農業機を開発し量産販売している一貫型の製造業である。主に米の乾燥機を製造している。

しかし昨今は、農業の担い手不足が進み、農業機械の市場が右肩下がりである。そうは言っても日本国民にとって食料自給率の確保は絶対命題でもある。そのような時代となり、今後の会社の方向性を見極めていくため、弊社を招集し、中期経営計画を策定することになった。

但し、弊社コンサルタント主導で体裁のいいものを作成するのではなく、プロジェクトスタッフの気持ちや考えが十分に入ったものを完成させたいとのことであった。

これまでG社は、職人気質の組織風土であったため、KKDいわゆる勘と経験と度胸こそが幹部社員としての優秀な証であった。そんなG社の中から、各部の部長と取締役が中期経営計画づくりのプロジェクトメンバーとして選抜されスタートしたのである。

生まれて初めて取り組む自社分析

さてプロジェクトは、48才の社長を入れ総勢11名のメンバーにてスタートした。

まずは自社の取り巻かれている経営環境について分析をすることになった。PEST(政治・経済・社会・技術)における周囲の環境の動向を、皆で協力して調べた。普段、ニュースや新聞をそれとなく読んでいたものの、社会で発生する様々な出来事の背景にどんなことがあるのかという事までは、深く考察しているメンバーは殆どいなかった。

一般的ではあるが、まずはSWOT分析という手法を用いて自社の強み・弱み、そして自社を取りまく、追い風と向かい風を抽出した。そして抽出したSWOTの4分野の内容をクロス分析という形で、複合的な視点から深い考察を実施した。実は、経営分析をする際、初めての経験だというメンバーが6人もいた。

よく言えばモノづくりに精通した社員としての歩みであったが、一方、経営視点で管理者層として業務を進めていなかった点も明らかになった瞬間でもあった。

経営計画には思いをこめて表現する

初めての分析経験者も多い中、プロジェクトは活気に満たされた議論が次々となされ、これからの自社のビジョンづくりに華が開いた。

話しを煮詰めれば煮詰める程、そこに各メンバーの思いが強く入り、これから各部門の社員の年代層がどう変わっていくのかなど、興味津々の内容を計画書へ次々と盛り込むことになった。

その他、今後中期的にどれくらいの新商品を開発していくのか等、話すほどにワクワク感が高まる時間となっていった。

計画の内容は、主に以下の内容であった。
・事業部門別の営業計画(新規事業分野を含む)
・人事関連計画(新卒及び中途の採用計画、外国人の技術者採用も含む)
・R&D/開発計画(既存分野の新商品開発数、及び新規分野進出に向けた開発)
・生産性改善計画(品質管理体制、マニュアル化推進、購買部門の強化を含む)

正にプロジェクトメンバーの思いがこもった中期経営計画書が、6ヶ月の期間を経て完成したのだった。

計画の運用こそ重要事項

中期経営計画書が完成した後は、いよいよ運用の始まりである“経営戦略委員会”との名称で計画の進捗確認をするプロジェクトの始動である。

日本人の悪い癖で、立派な計画書はつくっても、肝心の運用時のチェックが甘いという傾向がある。そんな心配から、つくりあげた計画書の進捗確認と最高の運用を実施するための意見交換の場を設けたのである。

各部門でつくりあげた計画は、関連する他部門とも協議しながら運用するように策定されており、これまで以上に会社内の風通しが良くなってきた。

その一つの現象として、朝礼前に各部長が1階のフロアに自然な形で集まり、雑談とともに業務の情報交換と相談が自ずとさせるようになってきたのである。

今回のプロジェクトは中期経営計画を策定・運用するという実利的なメリットも大いに出たが、それ以上に部門間の風通しが良くなったという副産物も得ることができたのである。

                  株式会社エルシーアール 代表取締役 荒井 浩通