対象企業:建設機械レンタル業
受 講 者:入社6年以下の営業社員
研修内容:半日の研修を、毎月1回、半年間(計6回)実施
研修前の状態は、全く手つかずの冷や汗状態
研修初日、私は初顔合わせとなる建設機械レンタル業のA社を訪問し、受講生12名との「営業基本研修」がスタートしました。
目的は、大手の同業他社に負けないために、営業担当各自の人間性の良さを発揮して、お客様との関係性の強化を図ることでした。
そして、顧客内シェアの拡大をし、継続的に取引していただくくようになることが、最終的な研修会のゴールでした。
さっそく、研修が始まった初期段階。
私は、いつものように受講者たちのレベルチェックをするべく、いくつかの質問をしました。
主だった質問を挙げますと、
「営業トーク時には、どんなことをポイントにおいて対応しているか?」
「競合他社との差別化をするために、どんな営業トークを行っていますか?」
などです。
受講者から帰ってきた答えの中には、お客様に挨拶をしたと思いきや、30秒も経過しない時点で、ぎこちなくいきなり商談の話になり、「ところで今度始まる工事現場にうちの建機を入れてもらえませんかね?」というエピソードも出ました。
皆様がお客様の立場ではどのようにお感じになりますか?全く関係性もできていないまま、いきなりのクロージングトーク・・・。商談に支障がでることも考えるリスキーな商談の進め方ですよね。
“多少、気構えてはいましたが、「本当に彼らは大丈夫かな・・・・・?」と素直に感じたのが彼らとの出会いでした。
共通点は、「自分は話すのが苦手である」との思い込み
研修を進める中で発覚した重要な点がありました。
私から受講者に対して、「他人と話すのが苦手だと思いますか?」と聞いてみました。
すると受講者12人の内、10人が手を挙げたのです。
すかさず私は次の質問をしました。
「皆さん、このメンバーを見て、一体何割の人が、他人と話すのが上手でないと感じますか?」
「100%?、90%?、80%?・・・・・10%?」と順々に割合を下げて聞いてみました。
すると一番多かったのが、20%でした・・・
私は受講者たちにこう伝えました。
「話すのが苦手と思っているのは、実は自分だけで、他者から見れば、特に話すのが苦手であるとは思われていないんですよ!!」
「だから、まず心配をしたところで何も結果が変わることがないことに意識を集中することをやめましょう!」
こう言ってあげ、彼らを元気づけるところからこの研修がスタートした
「人間力」が光り出す
さっそくロールプレイングを行いました。
一つのテーマだけに集中し、営業役はお客様役に対して、質問形式で喋ってもらい、お客様役から発せられた言葉に大いに興味を抱き、更に深掘りして質問をして会話を継続するという体験をしてもらいました。
するとどうでしょう!!
あんなに話すことが苦手だと言っていた受講者までが、ロールプレイングの制限時間5分間を余裕で会話を継続できたのです。
「体験こそ自信の根源なり!」とはまさにこのことだと感じた瞬間でした。
受講者たちは、ロールプレイングを多用した研修の中で自信をつけ始め、研修会の中での表情、特に他の受講者の面前で行うロールプレイングでも自信を持ち始め、顔がドンドン輝いてきたのです。
さらに受講者たちは、営業トークの中でお客様の人間的な趣味や家族の情報なども引き出せるようになっただけでなく、自分自身のプライベートでの過ごし方や、趣味であるゴルフの苦戦状況なども話せるようになり、一気にお客様役との関係性づくりが上手になりました。
まさに“人間力”の発揮です。
ロールプレイングの中で見られるようになってきた対応力は、実際の営業場面でもお客さまから「君にこの仕事をお願いしたいんだ!!」と言われんばかりのオーラにも似たものを醸し出し始めたのです。
自信がついたら、積極クロージング
自信がついてくると人は勢いにのるものです。
お客さまとのプライベートな内容からスタートした会話は、大きな盛り上がりを見せ、見積依頼をお客様からもらえるようになり、さらに今後発生する予定の工事現場情報まで引き出せ、その分の仕事まで、他社に先駆けて事前予約を入れる勢いの積極クロージングを展開できるようになってきました。
現在、半年間(計6回)の研修から1年が経過した彼らは、表情を見れば分かるくらいの自信をもって、お客様との対応に日々奮闘しています。
話すことが苦手と感じるなら、お客様にドンドン話してもらえる会話に切り替えてみる!
すると誰もが持っている潜在能力が発揮され、自分自身の“人間力”を武器に、他社と差別化をした営業展開が出来るように成長を遂げました。
習うより慣れろ!
そして話す力より聞く力を強化させる。
これが最強の営業パーソン育成の近道なのかもしれませんね・・・