春の訪れを全身で表していた美しい桜の花もはらはらと咲き終わり、みずみずしい新緑の季節がやってきました。
今回は評価制度構築に取り組んだ2社の事例を紹介します。2社はそれぞれ20~30人の会社で、売上も伸ばし利益もしっかりと出している会社です。評価は社長が中心で行っていました。制度として取り組むのは今回が初めてです。
社長の思い
人事評価制度構築のあたり、先ずは社長の思いを聞きました。期せずしてお二人とも図らずも同じようなことをおっしゃっていました。「今は人数が少ないので自分の頭の中で社員を評価できるが、これから会社を大きくしていくには頑張る社員に報いる基準をしっかりと作らないとダメだ」「若い人が増えているので、しっかりした基準を作り、どんどん育てたい」。
制度の特徴
エルシーアールではそれぞれの業務内容で推奨される行動(仕事ができる人の行動=コンピテンシー行動)をまとめ、それを行動基準として公にし、それで評価することを薦めています。
2社は職種も限られていて、これから人事評価制度をスタートします。それぞれの業務を一つの推奨行動で評価するスタンダードタイプで取り組むことにしました。今まで評価制度を持っていた企業様向けには、それぞれの業務を2~3の推奨行動で評価するプレミアムタイプもあります。
評価制度構築の取り組み
制度構築に当たって、先ずは社長の思いを全社員に知ってもらい、全社員で制度を作り上げられるように全員に集まってもらい30分ほどのキックオフミーティングを行いました。
いよいよ各職種の代表に集まってもらい、職種ごとの業務や推奨行動の聞き取りをしていると、総務人事を担当している女性社員から「私は将来見積もりの仕事もしたいので、それも業務に付け加えてほしい」との要望が上がりました。社長は「大変だぞ!大丈夫か?」と確かめていました。見積もりを担当している方は「俺もウカウカしていられないな」と腕組みをしていました。
また、この業務は重要だから、一つの推奨行動だけでなく二つに増やしてほしいとの意見も出て、いくつかの業務で増やすことになりました。
人事評価制度構築のキモ
このような取り組みを経て、2社それぞれの業務内容に沿った独自の評価表ができました。その評価表は制度構築に社員が積極的に関わり、自分が「こんな行動をとれるようになりたい」と思うようなシートになりました。2社では「人事評価表」とは呼ばずに、「成長シート」と名付けています。
どこかからか出来上がった評価表を持ってきて、「これでやれ」では生きた制度にはなりません。
社長の思いや社員の成長したいという思いを引き出し、評価表にまとめ上げる過程がその後の人事評価制度が生きるかどうかのキモになります。
株式会社エルシーアール 参与 大木 啓樹