【コラム】パワハラとは何かを正しく知ろう、そして管理職は自信をもった指導を

 

 

 

 

 

 

 

【今やハラスメントは50種類を超える】
皆さん。“アルハラ”って知っていますか?これはアルコールハラスメントのこと。アルコールを飲めない人に強要する嫌がらせのこと。
では、“テクハラ“は?これはハイテクノロジ、例えばパソコンに詳しい人が「え、こんな機能も知らないの?」と不慣れな人を馬鹿にする嫌がらせのことです。

これまで聞いたことのないハラスメントが日々増えています。その種類は50を超えるとも。「何でもハラスメントをつけりゃいいってもんじゃないよ!」と心の中では半分思いつつ、それによって私たち人間が持つ尊厳が傷つけられ、極まると自死を選ぶ人も増えてきている以上、看過できません。近年、スポーツ団体(大学やプロやアマチュアの協会等)でもハラスメントに関するニュースが続きました。


【なかでもパワハラが多い】
数あるハラスメントのなかで、企業で最も起きやすく影響が大きいのが「パワハラ(パワーハラスメント)」といえます。その多くが上司から部下に対し行われます。その結果、うつ病になって休職や退職に追い込まれたり、最悪の場合は自死を選ぶ人もいます。パワハラの影響はパワハラを受けた人だけに影響は納まりません。
パワハラを与えた上司もそれを知って心の病に陥ることも珍しくないのです。
パワハラに起因する訴訟も増えてきており、企業にとっては対策を講じなければいけないリスクでもあります。ちなみに訴訟になれば、ほぼ企業側が敗訴するそうです。


【パワハラの定義】
パワーハラスメントの定義は、“同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係など職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・肉体的苦痛を与える、又は職場環境を悪化させる行為”と定義されています。


【パワハラ加害者本人は気づいていない】
パワハラを含むハラスメントの特徴として顕著なのが、加害者・行為者はそのハラスメント行為に気づいていないことです。「え、確かに厳しいことを言ったけどそれは指導教育だよ、愛のムチだ」「俺の若いころはもっとひどいことを言われたよ」「このくらいが我慢の範疇だ」皆さんには思い当たる節はありませんか?


【増えている「怖くて指導できない」】
逆に、「パワハラといわれるのが怖くて部下に必要な指導ができない管理職」も増えています。・・・・・
しかしそれでは、業務に対する成果は得られません。そんな管理職や年輩社員は、まずは何がパワハラにあたるかをちゃんと理解することが必要です。


【厚生労働省が定めるパワハラの6類型】
1、身体的な攻撃 ・・・ 暴言、傷害
2、精神的な攻撃 ・・・脅迫、名誉毀損、侮辱、ひどい暴言
3、人間関係からの切り離し ・・・ 隔離、仲間外し、無視
4、過大な要求 ・・・ 遂行不可能なことの強制、仕事の妨害
5、過小な要求 ・・・ 仕事を取り上げる、能力よりも低い仕事しか与えない
6、個の侵害 ・・・ 私的なことに過度に立ち入る
上の1~6がパワハラに定義されることを知っておくことが必要です。


【パワハラの線引きの例】
管理職には、職場の業務を円滑に進めるために一定の権限が与えられています。業務上必要な指示や注意・指導などもその一つです。時に厳しい指導であっても、「業務上の適正な範囲」と認められる限り、パワハラには当たりません。
例えば、こんな例。
取引先のアポイント時間を間違えて部下が遅刻したときに、同行した上司が「大事な商談に遅刻をするとは何やってんだ!」と叱った。・・・・これだけではパワハラとは言えません。しかし、そのあとに「だからおまえとは仕事をしたくないんだ!」「何をやらせてもできないな男だ!」などとその人格や存在を否定する言動があるとこれはパワハラ行為となってしまいます。


【管理職は自信をもって必要な指導を】
管理職による業務指導は“必要”です。それなのにパワハラを過剰に意識するために必要な指導が行われないとすれば、業務上の責任が果たせません。
パワハラの正しい知識を持ち、萎縮せずに自信をもち、部下に愛情をもって必要な指導を行うことが大切なのです。

株式会社エルシーアール 事業推進部 部長 若色 宏幸

 

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