【コラム】マネジメントにコーチングを活かす③

 

 

 

 

 

 

 

第三回 未来を共に描く


コーチングというかかわり方を、単に部下の育成だけに留まらず、マネージャーのリーダーシップの向上やチーム力の強化などマネジメントに活用するという視点でのコーチングの活用について書いています。
第3回は、「未来を共に描く」です。

「本当の自分はどうなりたいのか?」をテーマにコーチングをすることがあります。ここでいう「本当の自分」とは、「できればやりたいのだけど」、「それをする前にやらないといけないことが」といったストッパーを外した「自分」です。多くの方は、自分では意識することなく、「ストッパー」をかけています。あなたは、どんな「ストッパー」をかけているでしょうか?この「ストッパー」に気づき、それを外した時に、本当に自分がしたいことに気づくことがあります。

これを組織やチームにあてはまめると、「本当の自分たち組織やチームはどうなりたいのか」です。いわゆる「ビジョン」です。みなさんの会社や組織・チームにもビジョンがあるというところも多いと思います。

そのビジョンは誰が作りましたか?

もっとも多い答えは、リーダーではないでしょうか。社長、部長、グループリーダーといった組織の長。会社のビジョンだと経営企画部門が素案を作るというところも多いでしょう。
でも、他人が作ったビジョンに心躍るでしょうか。
例外はあります。有名なキング牧師の”I have a dream.”が代表的です。興味を持った方は、ぜひ、「キング牧師」で検索してみてください。きっと、胸を打たれると思います。
しかし、他人が作った多くのビジョンには、どこか押しつけられた感じがつきまといます。

では、どうすればいいのか?
メンバー全員の声を聴くこと。1万人の従業員がいる会社で1万人の話を聴くことは可能なのか?という声が聞こえます。でも、やり方はあります。それは数十人のチームの全員から話を聴くこととやり方は異なるでしょう。そのやり方については、別の機会にお話をしたいと思います。

もし、あなたが20人、30人の組織やチームのリーダーであれば、1人ひとりの希望、夢、仕事への想い、仕事を通じてどうなりたいのかを聴くことはできるはずです。マネージャーがコーチとして、メンバー一人ひとりの、「どうなりたいのか?」「どんなチームで働きたいのか?」を引き出し、それを全員が共有すること。できれば全員がいるところで1人ひとりの話を全員で聴くこと。そうすると必ず共通の“どうなりたいか”が浮かび上がってきます。無理に一つの言葉にまとめる必要はありません。

それが“組織・チームの「共有ビジョン」になり、メンバーが向かうところを指し示します。
メンバーの中で、「共感」と「一体感」が生まれます。この「共有ビジョン」と「ビジョン共有」は違います。多くの企業でされているのは、社長や一部の幹部やスタッフが作ったビジョンを社員に伝え、それを共有するというものです。これを「ビジョン共有」と言います。こうして共有されたビジョンを「自分のビジョンだ」と思うことは難しいでしょう。(「共有ビジョン」についてもっと知りたい方は、ピーター・センゲが書いた「学習する組織」を読んでみてください)

自分ごとのビジョンが明確になると、多くの人は「実現したい」と思います。マネージャーにとってメンバーと共にビジョンを描くこと、それを共有することは、とても重要なことです。
ぜひ、メンバーと未来を共に描いてみませんか。

次回は、「行動を起こす」について書いてみたいと思います。

(つづく)

              株式会社エルシーアール 人づくり講師 竹内 義博

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