【事例】気づいたら実行していたランチェスター戦略~研修会を通し、戦略の再確認とブラッシュアップ~

 

 

 

 

 

 

 

対象企業:栃木県 建設資材卸売業 社員数150名

インタビュー対応者:M専務

ランチェスター戦略と言われても??

弊社は全階層に渡って、人材のレベルと業務推進力を向上させるため、エルシ-アールに社員研修を委託し5年が経過する。
今期の会社方針で、我々取締役陣は、中小企業の戦略を極めるという目的で、「ランチェスター戦略研修会」を7名のメンバーで実施することになった。

弊社はこれまで、ライバル会社との熾烈極まる競合を勝ち残るために、色々と工夫を凝らしながら、手づくりの作戦を展開してきた。それが当たっていたのか、間違えていたのか、検証するすべもなく今日まで過ごしてきた。受講対象の7名は、「ランチェスター戦略」という横文字を聴いてもさっぱり分かるわけがない。

そんな思いでこの研修会がスタートした。

既に我が社でもやっていた!

エルシーアールの講師よりランチェスター戦略の概略説明と、世間で実際に行われている事例を交え、講義がスタートした。
講師の解説によると戦略のポイントは以下のようなものであった。
・戦力に勝る「強者」と戦力の劣る「弱者」に分ける
・それぞれがどのように戦えば戦局を有利に運べるのかを考えるための戦略論を考える
 ➡同じ武器効果なら兵力数で勝敗が決まることから、「強者の戦略」と「弱者の戦略」に分ける
 
また弊社が該当する弱者の戦略では、以下の点が勝敗のポイントになることが分かった。
・局地戦…ビジネスの領域を絞る
・一騎打ち…1社限定と競合する
・接近戦…敵ではなく、顧客に接近する
・一点集中…1点に絞って戦う
・陽動作戦…競合相手の裏をかく戦法

しかしよくよく考えてみると、これらの弱者5大戦略は弊社でも既にやっているような気がしてきた。例えば・・・
・局地戦…県内でも、集中的に営業活動する範囲を必要要素に応じて限定する
・一騎打ち…営業先で競合と同じタイミングでかち合った場合は、絶対に受注する
・接近戦…常に発注権限を持つ現場代理人にコンタクトし、オーナー社長との人間関係を築く
・一点集中…差別化ポイントを機動力のある配送とし、受注したら当日または翌日配送
・陽動作戦…オーナーの奥様方(金庫番)に対して、毎年慰安旅行を企画

気づかない間に、弊社も立派にランチェスター戦略を実行していたのだ!

さらにランチェスター戦略を極める

研修を進めると、弊社にはまだまだ足りない点も大分見えてきた。
その中で意識すべきは、市場ごと及び顧客ごとの占有率である。
専門的な呼び方をすればクープマンの法則というのだそうだ。

<7つのシンボル目標数値>
7つのシンボル目標数値は、現在、自社のシェアはどの段階にあるのかを判断するものだ。
それを各営業計画の期間で中期・長期でどのように伸ばしていくのかを設定する。

➀上限目標値73.9%
73.9%(上限目標値)の場合、独占的となり、絶対的な安全・安泰にあるといえる。

②安定目標値41.7%
41.7%(安定目標値)の場合、地位が安定し、複数社による競争の場合、地位は安定する。

③下限目標値26.1%
26.1%(下限目標値)の場合、トップの地位に立てる強者の最低条件である。

④上位目標値19.3%
19.3%(上位目標値)が確保できれば、弱者の中の強者という条件となる。

⑤影響目標値10.9%
10.9%(影響目標値)は、市場全体に影響を与える存在で、本格的な競争に突入できる。

⑥存在目標値6.8%
6.8%(存在目標値)は、存在を認められる存在であるが、市場に影響を与える力はない。

⑦拠点目標値2.8%
2.8%(拠点目標値)でようやく拠点として認識される最低レベルの基準値といえます。

⑤~⑦をまとめると、3%→7%→10%が市場参入の中間目標数値といえます。
そして10%を超えて初めて本格的な市場の競争に参入できたといえ、2.8%以下であれば、存在すら見いだしてもらえない立場といえます。

このように見てくると、弊社の市場占有率は、営業所によってさまざまな特性となっていることが分かった。
今後は、営業所ごとの市場占有率に従って、それぞれの戦略と差別化を図っていきたいと思う。そして弱者が強者に勝つために、競合他社との差別化を、顧客の立場に立った視点できめ細かく知恵を出して行動に表していきたいと思う。

                  株式会社エルシーアール 代表取締役 荒井 浩通