【コラム事例】新時代を突破する営業戦略づくり

 

 

 

 

 

 

 

対象企業:M社/木工製品加工業(社員数60名)

受 講 者:営業部社員、経営幹部

研修内容:半日の研修を、毎月2回、半年間(計12回)実施

1.研修前は、KKD(勘と経験と度胸)が売りの組織

弊社の創業時から30年以上に渡り、お付き合いがある栃木県北のM社(木工製品加工業)は、建設業界のすき間産業ともいうべき事業を50年以上継続してきた会社である。
これまでの営業方法は、各営業マンのKKD(勘と経験と度胸)による昔ながらの手法によるものであった。当然のように、営業で得た顧客情報も共有されにくい。

また営業戦略は、全社的に統一されものがなく、各営業マンが現場にて顧客から得た生の情報を元に、各自が立てていた。

M社長は、そんな閉鎖的な営業部門を、もっと風通しの良い部門に改善し、全社的に統一された営業戦略をつくりたいと思い、長年のつき合いがあった弊社に声をかけてきたのである。

2.答えは足元にあった

そんな組織風土を脱し、全社的な営業戦略づくりと、個々の共通認識を図る目的で、このプロジェクトがスタートした。初めての試みという事で、初期段階はオーソドックスにSWOT分析を実施して、重要成功要因をあぶりだし、営業戦略づくりの骨子を組み立てた。

すると今後の市場の動きを分析し、自社の特徴を活かす指針を決定すると、戦略の骨子は自ずと見えてくるのであった。

次にこれまで10年間の顧客との取引内容を累計売上高に置き換え、上位順に並べ替えてみると、教科書のような結果が現れたのである。10年間の取引企業は160社あったが、その上位30社(18.7%)の顧客で、全体累計売上高の80%を占めるという結果となったのである。いわゆるパレートの法則が如実に現れたのである。
※製造工程などでも上位20%の種類の不具合原因で、全体の不良件数の80%を占めると言われる

そして、その上位20%の顧客の特徴と受託要因を探ってみたところ、何とSWOT分析の結果明らかになった戦略の骨子とズバリ重なったのである。まさに求めていた答えが、これまでの取引結果のデータの中に隠れていたのである。“答えは足元にある!”とはよく言ったものだ。

3.凡事徹底は、いつの時代も普遍

重要成功要因の一つに、「顧客との重要タイミングでのアプローチ」というものがあった。

自社の売上高は年商12億円で、営業マンが3人いる。その中にベテラン営業マンがおり、彼一人8億円(全体の67%)の売上高を達成している凄腕営業マンであった。

彼は、今回の営業戦略づくりのプロジェクトには消極的であったが、過去の顧客分析を行っていると徐々に積極的な関与が見え始めてきたのである。何故なら、構築した営業戦略の骨子を成し遂げるために必要な行動を分析したところ、この凄腕営業マンが実施していた行動とバッチリ一致したからであった。

彼は、手帳の巻末部分のメモ欄に、顧客が施工している工事現場への訪問をし、その中で聞き出した次の施工現場情報をきちんとメモし、「施主・受注予定金額・場所・施工内容・工期」についてしっかり聞き出し、時系列に記載したフリーハンドの3ヶ年スケジュール表にきちんと書き出していたのである。そればかりか毎月そのスケジュールをきちんと管理し続け、訪問のタイミングがくると滞りなく、担当する現場監督の元を訪問していたのであった。

当のベテラン営業マン曰く、「そんな基本的な事、誰だってやっているでしょ!俺がやってきたことなんて、何も凄いことなんかないんだよ」と謙遜気味だ。正に“凡事徹底”とはこのことだ。

勿論、営業結果は、その抜け目ない対応により、他社よりも早い営業行動となり、一人で驚くべき営業実績をたたき出していたのであった。

4.その後の動き

こうしてM社の営業戦略が構築され、基本行動計画及び重要行動指標であるKPI(Key Performance of Indicator)を導入させた営業計画が完成し、運用が始まったのである。現在、営業戦略であぶり出されたターゲティング戦略とエリア戦略を加味させながら、攻めと守りを同時並行で進めながら好成績を毎年継続している。

そして、あの敏腕ベテラン営業社員が、当たり前のように何十年も継続していた重要な行動を、皆がマネしながら取り組むようになってきたのである。

                  株式会社エルシーアール 専務取締役 荒井 浩通