【コラム】想定外と不祥事は、なぜ繰り返されるか 第1回

 

 

 

 

 

 

第1回 ~想定外と危機感~

株式会社エルシーアールのコンサルタントをいたしております、嶋脇 寛と申します。

数十年~百年に1回の頻度と言われる出来事が、ここ9年の間に発生しています。
☆東北地方太平洋沖地震による巨大津波と福島原発事故
☆異常気象に伴う記録的豪雨・大型台風による災害
☆新型コロナウィルスによる世界的パンデミック

今回から6回にわたり、これまで携わりました事業継続計画BCP(Business Continuity Plan)と品質経営の視点で、想定外発言と不祥事が繰り返される背景に迫ります。

今回は、“想定外と危機感”の視点でお話しさせていただきます。

 

一つ目の視点:「想定外」

事故等が発生すると、経営陣の会見で「想定外でした」というフレーズをよく聞きます。何故、そのフレーズが繰り返されるのでしょうか?

そもそも「想定」とは、人が意識してつくる境界(状況や条件)のことです。その境界の内側が「想定内」、その境界の外側が「想定外」ということになります。

従って、この境界を意識して拡げれば想定外の事態は起き難くなります。逆に、意図的に境界を狭めれば、想定外の事態は起き易くなります。

最悪の二次災害と言われる2011年の福島原発事故は、東京電力の旧経営陣が「想定外の事故」と発表しましたが、放射能汚染の原因が明らかになり、旧経営陣の責任が追及されました。

放射能汚染を引起こした原子炉メルトダウンと水素爆発の原因は、通常電源と非常用電源の両方を喪失したことにより、原子炉と使用済み燃料プールが冷却不能となった為でした。

通常電源は地震による停電ですが、非常用電源は水没したことが停止原因でしたので、非常用電源が水没しない位置にあれば、最悪の事態は防げたという調査結果でした。

この非常用電源は、事故の教訓として現在の原発では改善されています。

組織のリーダーは、安全を担保するために想定外の事故をなくさなければなりません。すべて「想定内」と言い切れるぐらい、あらゆるリスクを評価する必要があります。

 

二つ目の視点:「危機感」

想定外の事態が起きないようにするための二つ目の視点は「危機感」をもつことです。

災害だけでなくテロや感染症などの事態にも備えるグローバルなBCPの考え方では、最悪を想定して危機感をもって発信し、強力な対策をタイムリーに行うことが基本です。

感染症であれば、最悪は「感染爆発による医療崩壊・経済混乱・国防力低下等」です。

基本対策は、都市封鎖や罰則付き外出制限、および感染者の識別検査と隔離等です。

日本の場合、法的強制力を行使できないことと検査能力が低いという事情から、新型コロナウイルス第一波への対応は自粛要請となりましたが、自粛要請の内容が曖昧ですと個人差が生じてしまいます。

例えば、「不要不急の外出を自粛してください」という要請は、「不要」and「不急」なのか、「不要」or「不急」なのか一見分かり難いという事、何が不要で何が不急かは、人それぞれの価値観で大きく異なるという事が欠点です。

世界のリーダーたちが緊急時に気をつける事は、明解な言葉で伝えることだそうです。

曖昧な言葉では「危機感」や「緊張感」が伝わらないからです。

この続きは次回、畑村洋太郎先生(現東京大学名誉教授、工学博士)に「失敗学」や「創造学」の指導を受けたことを参考にお話したいと思います。(8月18日配信号につづく)

 

株式会社エルシーアール コンサルタント 嶋脇 寛