【コラム】企業文化と人材育成②

2.コミュニケーションについて

私の企業人生での経験を通じて企業文化と人材育成の関係について感じた事や、現在にも通じる部分について6回に分けて掲載したいと思います。読者の皆さんの参考になれば幸いです。

第二回目は“コミュニケーションについて”です。

企業文化とコミュニケーション変化

まず、メールも無い頃の昔話で恐縮ですが、古き良き時代?のコミュニケーションについて振り返ります。

前回でも書きましたが、前職では徹底したコーチングで自分で考える習慣から皆自分の意見を持ち、ワイガヤでブレストルールである人の意見は途中で遮らず非難せず聞く習慣が身に付いているので、会議や日頃の打ち合わせから意見が活発に飛び交う企業文化に繋がっていました。特に他部署調整ではフェイスtoフェイスでの議論により相手の性格も含めて理解出来、相互理解が進みました。

どんな業務でも問題は発生するもので、自責他責によらずベストな解決策をお互いに考えます。他部署に影響が出る問題については経緯/原因/データを準備して誠意を持って相手に説明し、最善の解決策を導きます。決して妥協では無く、とことん議論します。こうして一度腹を割って議論する事で人脈が広がって行きました。

PCが配布された当初は目の前の相手にもメールでやり取りしたりと笑い話の様な時期も有りました。PCが普及すると要調整案件も未調整のままメール連絡だけ、見てない方が悪いなど一部でトラブルも散見されましたが、会議通知など業務連絡や情報共有はメール、要調整案件はフェイスtoフェイスになっていきました。

PCが無い時代は議事録をとる習慣が徹底され、会議目的/議題/内容/結論/今後の予定まで相手と整合して、合意する流れは新人教育にも役立ちました。メールは経緯が残りますが、合意内容は議事録として残します。メールによる効率化と共にフェイスtoフェイスの合意形成やワイガヤなど企業文化も継承されています。

 

上司と部下のコミュニケーション

上司は部下とのコミュニケーションに一番気を遣うと思います。業務に大きな影響を与える大切なスキルです。

年に数回の評価を伝える2WAYだけ聞き手になるだけでは、部下は評価を聞くだけで心を開かない方もいると思います。やはり普段の気配りや声掛けなど見ていてくれる安心感と話し易い雰囲気が信頼感に繋がると思います。上司と部下がお互い信頼関係で繋がれば仕事も楽しく成果に繋がるでしょう。

朝日新聞のコラムにジブリ鈴木プロジューサーの話が有りました。
「これほど長く宮崎監督とやってこれたのはお互いに信頼はしているが尊敬はしていないので、言いたいことを言い合える関係だから。」
お互い対等な立場での話ですが、上司/部下の立場でも共通点が有りそうです。

尊敬する優秀な上司から指示されるとそれが正解と何も考えず(思考停止)に従ってしまう。部下は自分の頭で一度考えて理解すれば自分事になり、さらに自分の考えを発言出来れば、コミュニケーションに繋がり、部下もさらにモチベーションが上がるでしょう。この様に上司は指示すると同時に君はどう考える?と問い掛ければ部下は自分事になり、コーチングとしても効果的です。ジブリの鈴木さんと宮崎さんの関係が年月を経ても刺激し合う事で良い作品を創出するのだと思いました。

次回の第三回は右脳と左脳について書きたいと思います。(つづく)


株式会社エルシーアール コンサルタント 坂本 靖則


関連ブログ

企業文化と人材育成①

ISO39001 導入事例 運送業 栃木県

ISO39001導入前の現状

11年前にISO9001を認証取得している運送業者のM社。保有車両台数は180台と県内でも大規模の部類に入る運送事業者である。

10年以上、品質に取り組んできた成果もあり、誤配送は大幅に減少し、ドライバーがお客様に対応する接客態度でも、一定の評価を頂けるまでに改善してきていた。しかしこの2~3年は、軽微な交通事故が頻発するようになっていた。

原因は様々考えられるが、ヒューマンエラーともいえる「うっかりミス、意識の分散」などが多いように思われ、何か対策を講じなければならないと社長は感じるようになっていた。そのような状況を踏まえ、ISO39001(以下RTSMS)の導入が会社の経営幹部会にて決定したのである。

特徴あるコンサルティングの進め方

RTSMSの認証取得プロジェクトがいよいよスタートした。まずは現状調査である。ドライバーたちの意識調査、リスク管理能力のヒアリングなど、リアルな状況をコンサルタントが膚で感じて、M社に合致した内容のシステムを導入しようという方針になった。

しかし立派なシステムをつくることは避け、できるだけ平易な表現とスリムな文書体系で、社員の皆が読んで・見て分かる内容にしようということを第一条件に進めることを皆で共有化した。

コンサルタントが特に意識した点は、現場のドライバーたちが関与することになる記録類を最小限に抑えることだった。少し大げさに言えば、現場のドライバーたちが現在使用している記録類を基準にして、それ以外の新たな記録類は、極力導入しないという方針で進めることにした。

分かりずらいISOの規格書は一読するだけにして、規格の解説にメインで使用する口語訳テキストという規格書を平易な言葉でまとめたオリジナル資料を活用して進めていった。その結果、プロジェクトメンバーは、ISOの規格にも慣れ、理解度も深くなり「つまり現場でいうと〇〇をやればいいんだね!」と規格の目的に合致した解釈ができるレベルまでになっていた。

システム導入後の変化とメリット

順調にプロジェクトが進み、RTSMSが完成し、いよいよ運用開始の時期となった。導入後、すぐに効果が出たものが、「ヒヤリハット」の推進による事故発生の低減である。これまで軽微な事故や車両の破損なども含めると、毎月5~6件程度発生したものが、導入半年で月平均0.5件にまで低減できることとなったのである。

こうなるとドライバーたちも事故の発生が低減したことにより、彼らの表情も徐々に明るくなって、社内の雰囲気がとても良くなってきたのである。そして社内の雰囲気が良くなると、ドライバーたちのリスク管理に対する意識も高まり、好循環の組織風土となっていったのである。また金銭面で言えば、事故発生の大幅低減により、損害保険の使用頻度が小さくなり、保険料の支払額も大幅に低減することが実現できた。

社員たちに効果があった点はもう一点ある。事故率低減による社会的信用の向上である。社員たちも誇りと責任をもって運転に従事することができるようになった。

今後の展望

今後のM社のビジョンであるが、「地域に安心感と信頼感を与えられる運輸会社を目指す!」との方針を掲げることにした。いつもきれいなボディ、いつもきれいな運転、いつもきれいな心で仕事。このような心情で社員たちが誇りをもって自社の業務に従事してもらえることが、社長にとっても大きな喜びとなる。

まさにRTSMSの効果的な運用を目的とした導入事例の内容である。

                  株式会社エルシーアール 代表取締役 荒井 浩通

【開催レポート】人事考課スキルアップシリーズ② 9月 12日(火)

「人事考課スキルアップシリーズ②」を開催しました。

研修では、どんな場面でどんな行動をとったか、得られた成果は何か。

公平かつ公正な評価結果を導き出すための考え方をケーススタディで解説しました。


 

 

 

 

 

【参加者からの声】(一部抜粋)
・評価を実施する上での疑問や不安の多くが解消されました。教えていただいた事項を意識して、評価に取り組みたいです
・楽しく、分かりやすい説明で、すぐに実践できそうです
・観察記録、つけてみたいと思います。ありがとうございました


日 程:2023年  9月  12日(火)→終了しました

時間帯:14時30分~16時30分(受付14時~)

会 場:宇都宮市/とちぎ福祉プラザ 第一研修室

 


講師:奥田 照幸

株式会社エルシーアール 人事コンサルタント

 

 

 

【事例】ISOはコンサルを受けているようなもの

お客様からのお問合せ

既にISOを取得しているお客様から「ISOは面倒だからやめようと思う」「維持するのに手間も費用も掛かるから大変なんだよ」とのお話を聞きする事があります。

新しくISOを取得しようとお考えのお客様も似たようなことを話す方がいらっしゃいます。良くお話を伺うと「ISOは面倒だ」というのは次のような内容です。1章から10章まであって、「各章にやることが細かく書かれているので大変だ」ということのようです。
「手間が掛かる」というのも「やり方を細かく決めて、おまけに記録も取らなくちゃいけないんだって」という事です。

では、仕事をするときはどう考えますか

今回お話を聞いた企業では、経営計画を立てるときに次のようなことを行っています。
① 自社がかかわっている業種の国内外の状況や課題を分析し、自社の強みを活かし課題を解決するために、経営の中長期の戦略を立てる
② 中期計画に基づいて、毎年の経営計画を立てる
③ 経営計画が達成できるように実行計画を立てる
④ 実行計画が進められるように、人や機械設備を準備し、やり方を決め、必要な資金や情報入手方法や手順書等を用意する
⑤ 計画に基づいて実施し、お客様に提出する書類(記録)を作成する
⑥ 毎月、仕事が実行計画通りに進んだかチェックし、結果をまとめる
⑦ 計画通りに進んでいない場合は、原因を探り挽回計画を立てる
⑧ 挽回するために、人員や機械設備の振り分けや作業方法を変える
⑨ 長期的に人を教育し、設備投資をし、情報伝達方法を整備し、計画を達成できる資源を準備する
⑩ 等々
これらは企業活動として必要なことで、見方によっては手間が掛かることです。

ISOの規格はどうなっているか

そちらの企業にISOの各章の説明をし、上記①~⑩の関係を説明しました。
4章:組織の状況(上記①)           5章:リーダーシップ(上記②)
6章:計画(上記②③)             7章:支援(上記④⑨)
8章:運用(上記⑤⑥⑦⑧⑨)          9章:パフォーマンス評価(上記⑥⑧⑨)
10章:改善(上記⑦⑧⑨&①②③)
これが今のISOです。

 

では、ほかのお客様でISOを上手く運用している企業は何をやっているか

事例1:事業活動は様々な品質や納期やコストや安全などのさまざまな側面を考慮して進めるので、
    ISOも統合して各章で品質や環境、安全等についてやることを決める
事例2:4章から7章は自社がやらなければならないことを、自社の実力に併せて決める
事例3:8章から10章は実際に企業活動でやっていることや使っている書類・記録を整備(使い易く)する

以上のように、ISOをどうするかではなく、実際の業務をISOを使って分かり易く、抜け落ちがないようにしています

ISOを最高に上手く使っているお客様は、社内ではISOという言葉は使わない

あるお客様は、長年ISOの品質も環境も労働安全にも取り組んでいます。
その会社にもISOマニュアルはあります。上記①の「自社がかかわっている業種の国内外の状況や課題を分析」や「自社の強みを活かし課題を解決する経営の中長期の計画」には「ISO4.1」や「ISO5.2」と最下段に表記されています。全てのISOの規格がこのように実際に業務で使う物に表記されています。社員は、ISOの世界基準に合ったやり方で日常の業務を行っています。

ISOの監査は、簡易的な経営コンサルを受けているようなもの

社内でISOという言葉は使わずに、ISOを運用しているお客様はISOの監査について「監査は経営コンサル」とおっしゃっていました。
更に、経営コンサルだと一部の幹部だけが対象だけど、ISO監査のという形にすると全従業員が対象になるので、会社の実態が良いところも悪いところもあからさまになって会社が良い方向に向くんだとのことです。

今回の事例報告がISOへの苦手意識克服の一助になれば、幸いです。

                             株式会社エルシーアール 参与 大木  啓樹

問題解決力研修 10月 24日(火)

▶日 程:2023年  10月  24日(火) ▶時間帯:14時30分~16時30分(受付14時~)                     ▶会 場:宇都宮市/とちぎ福祉プラザ 第一研修室  ▶定 員:20名                            受講料:人づくりパスポート会員:無料 / 一般:4,000円(税込)
    当日受付にてお支払いください。

こんな方におすすめ

・いつも同じパターンで失敗してしまう方
・改善にむけての対策を練りたい方
・不良品・不具合を減らしたい方

講座の内容

1. なぜなぜ分析の狙いとは
2. なぜなぜ分析の実践手順のポイントとコツ
3. 演習「なぜなぜ分析」体験

こんな効果が期待できます

・真の原因のつかみ方がわかります
・正しい対策の立て方のコツをつかめます
・トラブルや不良品の再発防止を進めます
 ※演習を通して実際の進め方がつかめます

「なぜなぜ分析」とは、「なぜを5回繰り返し、5回目のなぜの原因が問題の真の原因であるとする」という分析方法です。しかし、「実際のところは何をどうする手法なのかわからない」という声をよく耳にします。

元々は不良品や問題点の発生時に行う「原因を分析するための手法」であり、本来の目的は“真の原因”をつかむことです。ただ、なんとなくわかっているものの、実際にやってみるとなかなか難しく、真因から遠ざかってしまうとお困り方は多いのではないでしょうか?

本研修では問題の真の原因をつかみ、再発を防ぐ手法である「なぜなぜ分析」の基本とポイントを解説します。

 


講師:北垣 和紀

株式会社エルシーアール コンサルタント

 

 

 

以下のフォームからお申込みください。
※同業者の方のお申込みはご遠慮ください

    チームビルディング研修 10月 12日(木)

    ▶日 程:2023年  10月  12日(木) ▶時間帯:14時30分~16時30分(受付14時~)                         ▶会 場:宇都宮市/宇都宮市文化会館 第二会議室  ▶定 員:20名                           ▶受講料:人づくりパスポート会員:無料 / 一般:4,000円(税込)
        当日受付にてお支払いください。

    こんな方におすすめ

    ・管理職、リーダー
    ・チーム全体の潜在能力を引き出せていないとお悩みの方
    ・自身のリーダーシップを発揮できていないとお悩みの方

    講座の内容

    1. グループとチームの違い
    2. チームビルディングとは
    3. チームを活性化させる条件とは
    4. チーム活動の枠組みをデザインする

    こんな効果が期待できます

    ・チーム力が向上し、生産性が上がります
    ・職場の人間関係を良好にします
    ・働きやすい職場環境に変わっていきます

    近年「多様性」といった言葉をよく耳にします。働き方も人それぞれ異なり、一人ひとりが自律的に動くことができるチーム作りの重要性が高まっています。

    チームの目標や目的を達成させるため、また、今あるチームをより良くするため、いかにメンバーの個性を引き出し、活かす事ができるか。そのため、リーダー(管理職)には、「メンバーの能力や経験を最大限に引き出し、高いパフォーマンスを上げるチーム作り」が求められています。

    本研修では、リーダー(管理職)に求められていることを踏まえ、そのために必要不可欠なコミュニケーション能力、リーダーシップ力、フォロワーシップ力の醸成を目的とします。ゲームやロールプレイングを通して実践的に学んでいただきます。


    講師:秋間 和洋

    株式会社エルシーアール コンサルタント

     

     

     

    以下のフォームからお申込みください。
    ※同業者の方のお申込みはご遠慮ください

      新入社員フォローアップ研修 10月 3日(火)

      ▶日 程:2023年  10月  3日(火) ▶時間帯:14時30分~16時30分(受付14時~)                                      ▶会 場:宇都宮市/とちぎ福祉プラザ 第一研修室  ▶定 員:20名                                                      ▶受講料:人づくりパスポート会員:無料 / 一般:4,000円(税込)                                   当日受付にてお支払いください。

      こんな方におすすめ

      ・モチベーションを高めたい新入社員の方
      ・自分の力をもっと発揮したい新入社員の方
      ・入社してからこれまでを復習したい新入社員の方、入社2,3年目の方

      講座の内容

      1. 働くことの意義とは?
      2.働くことによる喜びと幸せ
      3.能力を高めることがもたらす効果
      4.自分らしいキャリアを構築する方法

      こんな効果が期待できます

      ・「働く」ということの意義を理解する
      ・働く喜びを感じながら生き生きと働くことができる
      ・自身のキャリアへの展望を描くことができる
      ・メンタルヘルスが整い、モチベーションの向上につながる

      社会人になって6ヶ月、業務にも慣れ、職場の上司や先輩たちとのコミュニケーションも以前よりとれるようになってきたのではないでしょうか。

      そこで本研修では、社会人生活を力強くそして自分らしくやりがいをもって働いていくことができるように、まず「働くことの意義」について一緒に考えていきます。これからの時代を生き抜くためには小手先の技能だけでは十分ではありません。次に、柳のようにしなやかに働いていくために、社会人としての根幹となる「自己成長」「働く喜び」にふれながら、自身のキャリアについて展望していきます。企業にとって大切な原石である若い人材の育成は必須です。ぜひ、この機会に、働く上での基盤を固め、ご自身の可能性を広げてみませんか?
      ※コロナ禍で新入社員研修に参加ができなかった入社2,3年目の方もご参加ください

       


      講師:篠原 優子

      株式会社エルシーアール 人づくり講師

       

       

       

      以下のフォームからお申込みください。
      ※同業者の方のお申込みはご遠慮ください

        【開催レポート】若手キャリアアップ研修 8月 22日(火)

        「若手キャリアアップ研修」を開催しました。

         

         

         

         

         

         

        研修では、一度原点に返り、「どのような人になりたいのか」考えていただきました。そして「一流」とは、どのような人のことを言うのか、お伝えしました。

        この研修が、自分自身のキャリアを見直すきっかけとなれば幸いです。

        【参加者からの声】(一部抜粋)
        ・今まで義務的に仕事をしているところがあったので、好きになれることを見つけたいです
        ・アイコンタクトが苦手なので、今後は少し意識していこうと思います
        ・幸せは2種類あることが今回、初めて知りました。生きがい追求型を目標にしていきたいと思いました
        ・講師の方のお話がおもしろく、分かりやすくて、楽しく受講することができました


        日 程:2023年  8月  22日(火)→終了しました

        時間帯:14時30分~16時30分(受付14時~)

        会 場:宇都宮市/とちぎ福祉プラザ 401会議室

         


        講師:伴 俊和

        株式会社エルシーアール 人づくり講師

         

         

         

        【コラム】企業文化と人材育成

        1.新人教育について

        私の企業人生での経験を通じて企業文化と人材育成の関係について感じた事や、現在にも通じる部分について6回に分けて掲載したいと思います。読者の皆さんの参考になれば幸いです。

        第一回目は“新人教育について”です。

        充実した新人教育

        まず、私が新卒で就職した企業の新人教育の充実ぶりをご紹介します。この会社は神奈川県のトラックメーカーの子会社で、キャビンの設計製造が主な事業でした。キャビンの外板はデザイン形状なので機密の観点から内製されます。その為、木型から金型製作、プレス、溶接、塗装、組立て、検査、出荷まで全ての工程が自社工場に存在します。

        新人は二人一組になり、全ての工程を一か月単位で経験します。感心したのが現場の方たちの温かい対応でした。

        やっと仕事を覚えたと思ったら次の工程に移るので、受け入れる現場は大変だったと思いますが、どの工程でも丁寧に指導してしていただき、その合間に各部署の研修、主要取引先メーカーの見学など盛りだくさんのカリキュラムでした。

        思い返せば、入社前の内定式後に会場出口で社長が学生一人一人に丁寧に頭を下げて“よろしくお願いします”と強く握手して頂いて感動しました。

        この様に、社長が社員を大切にしている事が社内で共有されているからこそ、会社全体で新人を大切に育てようという雰囲気が感じられました。これは社長のトップダウンであり企業文化です。そこから新人を大切に育てる社風、社内風土に繋がっています。配属後も先輩/上司の丁寧な指導で安心して伸び伸び仕事が出来る環境でしたし、実習のお陰で現場/部署と顔が繋がり、仕事し易かった事を覚えています。

         

        企業文化が人を育てる

        その後、転職した会社は前社と対象的な企業文化でした。その特徴的な部分について書いてみます。
        基本理念にある人間平等(自立、平等、信頼)の平等は “意欲のある人には等しく機会が与えられる”、創業者から継承されいる語録の“技術の前では皆平等”、“能ある鷹は爪を出せ“、”出る杭は伸ばせ“ などなど自主/自立を重視した言葉が並びます。

        こういった企業理念、社是、創業者語録は他社同様に新入社員研修で学びます。配属後、上司から新人の考えや判断の余地を残して業務を付与します。新人は疑問や分からない事は先輩/上司に質問しますが、その時は必ず先輩/上司は“君はどう考える?”と問いかけます。いわゆるコーチングですが、これを徹底しています。

        自分で情報を集めて仮説を立てて考える様に導き、その上で自分の考えを持てば遠慮なく先輩/上司と対等に議論出来るのでモチベーションも上がり、能動的になります。“自分の考えを持つことから全てが始まる。”これが習慣になり先輩/上司や仲間と意見をぶつけ合い、自分の考えがブラッシュアップされ、気が付くと仕事が自分事になっています。まさに自由闊達な議論が出来る風土が有ります。先輩/上司もそうやって成長して来たので新人にもそれを期待するのです。大切なのは突き放すだけで無く、日頃の声掛けやミーティングでの進捗確認など、細やかなフォローです。

        こうして仕事の基本である報連相も含めて、OJTでの実践訓練により、速やかに自立を促します。

         

        企業文化の違いと新人教育

        前者は社長のトップダウンで充実した丁寧な教育体制、後者は継承された徹底したコーチングでひたすら自立を促す。
        これも、企業文化の違いが教育の違いに表れていると思います。あなたの会社はどちらに近いでしょうか?

        次回の第二回はコミュニケーションについて書きたいと思います。(つづく)


        株式会社エルシーアール コンサルタント 坂本 靖則